今年度は、前年度の継続でYeast Two Hybridによる新規Taxilinファミリー結合蛋白質の同定を試み、約50種類のTaxilinファミリー結合蛋白質を同定した。今回同定したTaxilinファミリー結合蛋白質には炎症性メディエーターの産生・分泌に直接関わると思われる分子は含まれていなかったが、細胞増殖・細胞分化に関与する分子が含まれていたことから、Taxilinファミリーの機能解明に向けた新たな展望が開けた。一方、THP-1細胞の単球様細胞からマクロファージ細胞への分化過程においてTaxilinファミリーのmRNA量に変化があることを前年度に見出していたが、今年度は、単球様細胞からマクロファージ細胞への分化過程におけるTaxilinファミリーの役割を検討した。分化過程をCD11bやCD14を指標に分化3日目まで経時的に観察したところ、Taxilinファミリーの発現抑制は分化過程に影響しなかった。また、マクロファージ細胞をLipopoysaccharide(LPS)で刺激した際、γ-TaxilinのmRNA量とタンパク量が上昇していたことを前年度に見出していたが、今年度は、γ-Taxilinを発現抑制した細胞で炎症性メディエーターの産生量に変化があるかを検討した。γ-Taxilin発現抑制によりマクロファージ細胞でのLPS刺激による炎症性メディエーターであるInterleukin-1βやTumor necrosis factorαのmRNA産生量が抑制される傾向にあった。これらの結果から、γ-Taxilinが炎症性メディエーター産生を制御する因子であることが示唆された。
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