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2015 年度 実施状況報告書

脳動脈瘤破裂と関連する炎症性遺伝子群のエピジェネティックな転写制御メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19043
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

中岡 博史  国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教 (70611193)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード脳動脈瘤 / くも膜下出血 / マクロファージ / 炎症反応
研究実績の概要

我々は、先行研究において、脳動脈瘤病変組織を用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、破裂脳動脈瘤検体が発症時年齢によって若年と高齢患者で異なる遺伝子発現パターンを示すことを世界に先駆けて報告した。さらに、若年破裂脳動脈瘤は、破裂しやすい脳動脈瘤の分子的特性を有していると考え、若年破裂と未破裂脳動脈瘤の遺伝子発現量を比較し、有意な差異が認められる1,047遺伝子を同定した。同定した遺伝子群は、マクロファージを介した炎症反応亢進が脳動脈瘤破裂と関連する分子特性であることを示唆するものであった(Nakaoka et al. 2014 Stroke)。同定した遺伝子群は、脳動脈瘤破裂に対する血中バイオマーカーや治療標的分子探索に有益な情報をもたらすと考えられる。
先行研究で同定した脳動脈瘤破裂と関連する炎症反応性遺伝子には、多数の転写因子が含まれていたことから、これら転写因子の結合部位近傍に存在する遺伝子の発現データを検討し、下流遺伝子群の動態を明らかにした。破裂脳動脈瘤で顕著な発現減少が認められた、抗炎症に関わる転写因子であるKLFファミリー(KLF2,KLF12,KLF15)結合部位を遺伝子近傍(プロモータ領域やエンハンサー領域)に有し、破裂脳動脈瘤で顕著に遺伝子発現が変動している遺伝子群を同定することに成功した。これら遺伝子群の発現レベルの相関関係や転写因子-標的遺伝子の関連性に基づき、階層的転写制御ネットワークを構築した。脳動脈瘤破裂と関係する炎症性転写因子が寄与する生物学的パスウェイをネットワークレベルで解明するための重要な知見が得られた。
さらに詳細な分子メカニズムを探索するために、これら遺伝子近傍領域についてDNAメチル化解析をデザインし、エピジェネティックな変化を捉えようと試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究申請時に「②研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか」として以下の3課題を提案した。
1)破裂および未破裂脳動脈瘤組織でのメチローム解析
2)脳動脈瘤破裂と関連する炎症反応性遺伝子の発現制御ネットワーク
3)スタチン投与と破裂脳動脈瘤関連炎症性遺伝子の関連
主たる目標である、課題1)を行う上で、課題2)から得られる知見を利用することが有効であると考え、課題2)から着手することとした。今年度において、2)の課題について進捗できたため、おおむね順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

先行研究で同定した脳動脈瘤破裂と関連する炎症反応性遺伝子には、多数の転写因子が含まれていたことから、これら転写因子を起点として、これら遺伝子群の発現レベルの相関関係や転写因子-標的遺伝子の関連性に基づき、階層的転写制御ネットワークを構築できた。
次年度は、この分子ネットワークを詳細に理解するため、これら遺伝子近傍領域についてDNAメチル化解析を行い、破裂脳動脈瘤を特徴づけるエピジェネティックな変化を捉えたい。

次年度使用額が生じた理由

国際学会での発表を視野に旅費に割り当てていたが、良い機会がなく、旅費の使用が少なくなった。

次年度使用額の使用計画

繰り越し分は翌年度の旅費に割り当てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Shared genetic risk factors of intracranial, abdominal and thoracic aneurysms2016

    • 著者名/発表者名
      van’t Hof FNG, et al.
    • 雑誌名

      J Am Heart Assoc

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2017-01-06  

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