研究課題
本研究課題は膵発がん機構の解明を目的とし、発がん早期の形態変化と分子異常(胃上皮化生など)と多段階発がん過程における、microRNAの包括的動態、およびmicroRNA発現制御の主要分子群とEVI1の役割を軸に据えて研究を進めてきた。<1>EVI1-miRNAを中心とした膵発がん促進機構申請者はこれまで膵発がん早期に発現上昇のみられる転写因子EVI1が、microRNA-96を介してKRASを正に制御することで、膵発がんを促進させることを解明した。膵発がん早期のマーカーとして、ヒト血清エクソソーム にenrichするGlypican-1(以下GPC1)が近年報告された(Nature 2015)。申請者は、ヒト組織検体を用い、GPC1が前がん段階から浸潤がんに至るまで強発現することを見出し、またin vitro assayから、GPC1が膵前がん細胞および膵がん細胞において発がん促進的に作用することを明らかにした。そのうえで、膵発がん早期から発現するGPC1と、前述の、やはり膵発がん早期から発現するEVI1の関係性に注目し、EVI1がmicroRNAを介してGPC1発現を制御し、その発がん促進的作用をmodulateすることを見出した(Oncotarget2017)。この成果は、膵発がん過程において、発がんを正に押し進めていくEVI1-miRNAを中心としたnetwork機構の解明の一端であり、膵発がんのbiologyを解明するうえで非常に有用な結果である。<2>miRNA発現制御と膵発がんmiRNAの発現制御分子(特に生合成分子)が膵多段階発がんに果たす機能について、ヒト組織 体での免疫組織学的発現およびsiRNAによるノックダウン実験などのin vitro assayを用いて検証を進めている。
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Oncotarget.
巻: 8 ページ: 99552-99566
doi: 10.18632/oncotarget.20601. eCollection 2017 Nov 21.