研究実績の概要 |
悪性リンパ腫・軟部腫瘍などでは、しばしば、染色体転座の結果、腫瘍特異的融合遺伝子が生じ、それを検出することで確定診断が可能である。しかし、特に軟部腫瘍などでは、通常のホルマリン固定標本作成後に、融合遺伝子産物の確認が必要となり、RNAが保存された材料の確保に困難が生じる場合が少なくない。 従来は、FISH法,あるいは、パラフィン標本から抽出したRNAを材料としてのRT-PCRが試みられることが多かったが、蛍光顕微鏡、PCR装置、電気泳動装置を含め、一般病理検査室への普及には難点があった。また、安定した結果を得るためには技術的経験も必要である。 本申請研究ではSYT-SSX融合境界ペプチドに対する特異抗体を作製し、その病理組織診断における有用性を検討する。本年度は1年目にあたり、計3個の、候補抗体(マウス単クローン抗体)樹立に成功した。 これらの抗体は、ウエスタンブロット法により、SS18(SYT)あるいはSSXタンパク質とは反応せず、SYT-SSX融合タンパク質とは反応することを確認した。
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