滑膜肉腫の病理組織診断は、しばしば困難で、ホルマリン固定後に鑑別対象として挙がることあり、その場合、新鮮なRNA保存良好材料が入手できず、最終診断に難渋することがありえる。従来は、染色体転座によるシグナル検出(FISH方法)やホルマリン固定材料からのRT-PCRでの特異キメラ遺伝子産物検出を行ったがいずれも、一般施設での検出は困難であった。申請者は、in situ Proxymal ligasion assayおよびSYT-SSX融合部分ペプチドに対する特異抗体を作成し、簡便に滑膜肉腫を検出する方法開発を申請研究で行った。 本年度は、特異抗体のELISAでの特異性検討、Immunoblot法での特異性検討を行った。30種類以上の単クローン抗体を検討しBG35と命名した抗体が、QRPYGYDQ-IMPKのペプチドに特異的に反応することを見出した。このペプチドはSYT-SSX融合部のトリプシン限定分解で現れるC末端部に相当する。したがって、BG35はトリプシン前処理病理組織切片での特異的SYT-SSX6タンパク質検出に有効であることが示唆された。 加えて本年度、申請者は抗SYT抗体、抗SSX抗体をもちいて、SYT-SSXタンパク質の検出をin situ Proxymal ligation assayで検討し、いくつかの市販抗体での検出感度が50%程度であることをみいだした。
|