研究課題
成熟T/NK細胞リンパ腫のひとつである,鼻腔外原発鼻型NK/T細胞リンパ腫(ENKTL)は日本を含めたアジア諸国で多い,予後不良な疾患である.この悪性腫瘍は細胞傷害性分子とともにEBウイルス(EBV)も陽性であり,我々の研究対象である.我々はこのような予後不良なENKTL症例について,解剖学的発生部位,T細胞受容体の発現パターンなどに注目して臨床病理学的特徴を解析検討した.まず皮膚原発ENKTLでかつ他臓器に病変がない症例(皮膚限局ENKTL)に関しては予後良好であると共に,高齢発症が多いこと,また体幹に発生した症例がないなど,他のENKTL症例とはことなる臨床病理学的特徴を有することを明らかにした.本結果を論文にまとめ,現在,査読のある医学英文雑誌に投稿中である.皮膚限局ENKTLは加齢性EBV関連リンパ増殖性疾患の一型の可能性が示唆され,高齢化社会である日本においてさらに症例が増える可能性がある.今後の症例の集積とさらなる検討が望まれる.また過去に十分解析されていない,消化管原発ENKTL症例に関しても解析を行った.本症例のうち若年発症例では慢性活動性EBV感染症との関連が一部で見られ,また一方,腸管症関連T 細胞リンパ腫との境界病変と目される症例も含まれることが分かった.この結果は論文化されHistopathology 2017 DOI: 10.1111/his.13172としてacceptされた.
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Histopathology
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10.1111/his.13172.