本研究では、内分泌顆粒と呼ばれる細胞内小器官の形成が、PROX1遺伝子により制御される可能性を検討した。内分泌顆粒を有する細胞・組織の多くは、PROX1を高度に発現していた。内分泌顆粒を有する細胞株のPROX1発現を抑制(ノックダウン)すると、内分泌顆粒の数と共に、内分泌顆粒を構成する遺伝子群の発現が減少した。反対に、内分泌顆粒を持たない細胞株にPROX1遺伝子を導入すると、内分泌顆粒構成遺伝子群の発現が亢進し、これはPROX1が遺伝子の転写制御領域に直接作用した結果と考えられた。本研究により、内分泌顆粒の形成を正に制御する、内分泌細胞に特異的な転写制御因子が初めて明らかにされた。
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