研究課題/領域番号 |
15K19059
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
村上 敬 順天堂大学, 医学部, 助教 (10568158)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | SSA/P / serrated pathway / 大腸癌 / 発育進展 / 臨床病理学的特徴 |
研究実績の概要 |
【目的】まずSessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) 併存早期大腸癌の臨床病理学的特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】当院および関連施設にて外科的または内視鏡的に切除された317例(SSA/P 60例、SSA/P併存粘膜内高度異型病変 (SSA/P-HD) 46例、SSA/P併存粘膜下層浸潤癌 (SSA/P-CA) 31例、通常型腺腫 (AD) 60例、腺腫併存粘膜内高度異型病変 (AD-HD) 60例、腺腫併存粘膜下層浸潤癌 (AD-CA) 60例)を抽出し、臨床病理学的解析を行った。【結果】SSA/P-CAはAD-CAと比較して高齢の女性に多い傾向がみられた。局在ではSSA/P群は右側結腸に有意に位置し、肉眼形態ではSSA/P群は広基性病変が多数を占めたが、SSA/P-HDやSSA/P-CAでは亜有茎性病変も認められた。平均腫瘍径では、AD群は腫瘍の進展に伴い段階的な増加が認められた一方で、SSA/P群ではほとんど不変で、AD群と比較して小さい病変でも高度異型病変や浸潤癌が多く認められた。また、SSA/P-CAではリンパ管侵襲が39%で認められ、AD-CA (15%) と比較して高率であった。同様にSSA/P-CAではリンパ節転移も比較的高率に認められた。組織学的にはSSA/P-CAは側方発育を伴わずに粘膜下層へ浸潤する高~中分化管状腺癌からなり、35%の症例で粘液癌成分の併存が認められた。【結論】SSA/P由来の大腸癌は、通常のadenoma-carcinoma sequenceに由来する大腸癌と比較して、リンパ管侵襲やリンパ節転移が高率で、側方発育を伴わず、粘液癌を併存するなど比較的悪性度の高い腫瘍であることが示唆された。 以上の内容を、第90回日本消化器内視鏡学会総会にて口頭発表した(2015年10月 東京)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子変異解析に際し、過去の論文を参考にprimerの設計を検討しているが、現在論文を吟味している段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はDNA抽出、遺伝子変異解析、遺伝子メチル化解析を進めていく予定である。さらに遺伝子変異およびメチル化解析結果と免疫染色との相関について検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子解析や免疫染色に必要な初期物品の購入のため。
|
次年度使用額の使用計画 |
遺伝子解析や免疫染色に必要な消耗品などの物品を適切に使用していく。
|