研究課題/領域番号 |
15K19060
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
上山 浩也 順天堂大学, 医学部, 助教 (60621935)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胃底腺型胃癌 / 胃底腺粘膜型胃癌 |
研究実績の概要 |
本研究は胃底腺型胃癌の発癌機序の解明を目的とした研究である。近年、Helicobactor pylori(HP)感染と無関係な胃癌が注目され、その一つに我々が提唱した胃底腺型胃癌が挙げられる。しかし、胃底腺型胃癌の分子生物学的研究はほとんどなされておらず、胃癌研究の残された課題である。そこで本研究では胃底腺型胃癌の発癌関連遺伝子の網羅的解析(genome-wide association study:GWASによる胃底腺型胃癌の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)の解析を行い、胃底腺型胃癌の疾患感受性遺伝子多型を見出すことを目的とした。本研究の目的である胃底腺型胃癌の発癌関連遺伝子の網羅的解析に向けて、本研究では胃底腺型胃癌症例の収集と解析に着手した。GWASによる胃底腺型胃癌SNPの解析を行うためには、まず当院で診断された症例に加えて、当院へ診断目的にコンサルトがあった他院の症例と日本国内で学会・論文報告されている症例を可能な限り収集した。収集された症例をもとに胃底腺型胃癌の臨床病理学的因子の更なる解析と免疫染色による細胞分化・異型度による詳細な分類の作成を行った。昨年度は日本消化器内視鏡学会、日本消化器関連学会週間(JDDW2015)、United European Gastroenterology Week(UEGW2015)で胃底腺型胃癌について報告し、胃と腸、胃癌perspectiveの医学雑誌において胃底腺型胃癌について執筆した。また、現在までに104例の胃底腺型胃癌を集積し、分類作成を行い、胃底腺型胃癌の一亜型である胃底腺粘膜型胃癌の特徴を見出すことが可能であった。現在、JDDW2016、UEGW2016で報告するために演題登録済であり、論文も執筆中である。また、最終目的であるGWASによるSNP解析に関しては症例の集積に難渋しており、現在までに12例が登録されている。今後、他施設へ積極的に呼びかけを行い、症例の集積を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胃底腺型胃癌は非常にまれな胃癌の一つであり、症例の集積に時間を要している。現在までに当院に集積された104例の中で、詳細に解析可能であったのは50例ほどであり、現在以上の集積は困難が予想される。また、最終目的であるGWASによるSNP解析に関しては更に症例を集積するのが困難であると予想され、解析方法を再検討する可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、症例の集積が困難な疾患であるため、今後、他施設へ積極的に呼びかけを行い、症例の集積を継続していく予定である。また、GWASによるSNP解析は多数の症例数が必要であり、症例数が少ない場合には他の解析方法も検討する必要があり、現在検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までに集積した症例に関して免疫染色等の解析を施行したが、症例集積に時間を要しており、予定していた症例よりも少なく、計画通りに交付された使用額を使用できない状況であるため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
今後集積される予定である症例に対して、前述と同様の解析を追加していく予定である。
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