研究実績の概要 |
本研究では胃底腺型胃癌の発癌関連遺伝子の網羅的解析(genome-wide association study:GWASによる胃底腺型胃癌の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)の解析)を行い、胃底腺型胃癌の疾患感受性遺伝子多型を見出すことを目的とした。胃底腺型胃癌の発癌関連遺伝子の網羅的解析に向けて、胃底腺型胃癌症例の収集と解析に着手した。収集された130症例をもとに胃底腺型胃癌の臨床病理学的因子の更なる解析と免疫染色による細胞分化・異型度による詳細な分類の作成を行い、胃底腺型胃癌の一組織亜型である胃底腺粘膜型胃癌の特徴を見出した。日本消化器関連学会集会(JDDW2016)、United European Gastroenterology(UEGW2016)、日本消化器病学会総会2017で胃底腺粘膜型胃癌の特徴について報告し、更なる症例の集積を行い、現在論文を執筆中である。 また、GWASによるSNP解析は実現が困難と予想されたため、次世代シーケンサ(Ion PGMTM system with the Hotspot Cancer Panel v2 targeting 50 genes, Thermo Fisher Scientific)を用いた網羅的な遺伝子変異解析を行った。得られた遺伝子変異が胃底腺型胃癌の発癌・進展過程に特異的なものか否か網羅的解析データベースを用いて評価した。解析が可能であったのは15症例で、GNAS mutationが胃底腺型胃癌の発癌・進展過程に関与している可能性が示唆された。UEGW2017で途中経過を報告し、DDW2018で最終結果を報告し、その後、論文執筆予定である。今後は遺伝子異常のデータを基にpathway解析を行い、胃底腺型胃癌に関連するシグナル伝達経路を推測する予定である。
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