研究課題/領域番号 |
15K19062
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山田 正俊 帝京大学, 医学部, 講師 (50449120)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Tihgt junctionと癌 |
研究実績の概要 |
Zonula occludens ファミリータンパク(ZO1、ZO-2、ZO-3)はtight junctionを構成する足場タンパクであり、細胞接着を主たる機能とする一方、細胞増殖にも関与することが知られている。 今年度は淡明型腎細胞癌においてZOタンパクの発現動態と予後に関する解析をおこなった。 方法は当院にて外科的に採取された淡明型腎細胞癌123例を用い、免疫組織学的にZOタンパクの発現を調べ、進行度、核グレード、Fuhrman gradeとの相関を解析、また生存率の評価をおこなった。 結果、ZOタンパクは正常近位尿細管上皮膜に発現を示すが、淡明型腎細胞癌においてはZO-1/ZO-2/ZO-3のいずれもが発現低下傾向を示した。また、10%の症例でZO-3の核内発現を認めた。ZO-2の発現低下を示す淡明型腎細胞癌は、そうでない群に比べて進行度、核グレード、Fuhrman gradeのいずれもが有意に高かった。一方、ZO-3では核内発現を示す群が有意に高い核グレードならびにFuhrman gradeを示した。予後の解析においては、ZOタンパクの発現低下を示す淡明型腎細胞癌、およびZO-3の核内発現を示す淡明型腎細胞癌は生存率の低い傾向を示し、また ZO-2の膜発現低下、かつZO-3の核内発現を示す淡明型腎細胞癌は、そうでない腫瘍に比べて有意に生存率の低下を認めた。 今年度の研究でZO-2の発現低下、およびZO-3の核内発現を示す淡明型腎細胞癌が予後に悪影響をもたらすことが示された。ただし、これらの下流に存在し、直接細胞増殖に関与する因子は十分解明されておらず、今後の研究課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要で記した内容は、平成29年4月の日本病理学会で発表予定であり、また論文投稿に向けて現在執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
Tight junctionと腎細胞癌をテーマに、一つの研究成果を得ることができた。ただし、未だ未解明な部分も多いため、引き続き研究を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度初頭に高額機器の購入を予定しているため、本年度支給額を一部次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
スライドガラス包埋装置の購入を予定している。
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