研究課題/領域番号 |
15K19064
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
内藤 嘉紀 久留米大学, 医学部, 講師 (50465712)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人体病理 / 分子病理 / 胆管内乳頭状腫瘍 |
研究実績の概要 |
胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は予後良好な胆道腫瘍として近年提唱されたが、これまで診断されてきた乳頭腺癌との異同が不明確であるため、病理診断をする際のコンセンサスが一定ではないのが現状である。特に、これまでの研究結果から、発生部位による臨床病理学的相違点や肝外IPNBと浸潤性胆管癌(乳頭腺癌)の類似性が問題点として浮き彫りとなっている。本研究では、(1)肝内/肝外IPNBを同一疾患群として考えることの妥当性、(2)肝外IPNBと浸潤性胆管癌(乳頭腺癌)との違い、を分子病理学的に解明することを目的としている。 以上の研究目的に対して、初年度から次年度にかけて、免疫組織化学染色、DNA抽出、Direct sequencing解析を順次進める事としたが、27年度(初年度)は「IPNBの症例収集」、「臨床病理学的の検討」、「遺伝子異常の評価」を予定通り進める事が出来た。特に、27症例(肝内IPNB 10症例、肝外IPNB 17症例)のIPNBを収集する事が出来き、統計学的検討が可能な症例群を形成する事が出来た。 初年度で得られた結果は、肝内IPNBは肝外IPNBと比較し嚢胞型肉眼形態が有意に多く、胃型粘液(MUC5AC)を有する症例が有意差を持って多い事を証明する事ができた。一方で、KRAS遺伝子異常はIPNBでは少ない事が判明したため、他の遺伝子異常の調査を継続して行い、IPNBの診断・治療へ応用するための研究基盤の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況としては、稀な疾患として知られるIPNBを27症例収集できたことで、研究材料についての問題点は解消されている。また、予後も含めて臨床病理学的情報の整理が概ね終了し、統計学的検討についても検討できている。また、切除標本からのDNA抽出も問題なく進んでおり、KRAS遺伝子を含む遺伝子解析の結果も順調に判定されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策については、これまで本研究で得られた臨床病理学的因子、遺伝子異常の情報を総合的に評価する予定です。また、胆管腫瘍で生じると言われている遺伝子異常についての解析も加えて、今後は、それらの遺伝子異常の検索を進め、臨床病理学的因子と併せて総合評価を行う予定としている。最終的には、(1)肝内/肝外IPNBを同一疾患群として考えることの妥当性、(2)肝外IPNBと浸潤性胆管癌(乳頭腺癌)との違い、を分子病理学的に解明することを目指す。
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