研究課題
がんの発生、進展には多くの分子異常が関わることが知られている。その中でもがんの成立に強く寄与する変化を知ることは、発がんの分子メカニズムを明らかに出来るだけでなく、がんの分子標的治療の有力な標的になり得る。上皮間葉転換(EMT)は、がんの浸潤、転移および幹細胞様性質の獲得にも寄与していることが報告されており、その制御機構を解明することができれば、がんの発生および進展について理解できる可能性がある。私たちは新規EMT誘導因子として、転写因子MafKおよびその標的遺伝子である膜タンパク質Glycoprotein nmb (GPNMB)を同定した。今回EMTおよび腫瘍形成誘導におけるMafK-GPNMB経路の役割について解析を進めると、MafKの翻訳後修飾が、MafKによるEMT誘導および腫瘍形成促進能に関わることを示す新規知見を得ることができた。またGPNMBのいくつかのドメインおよびモチーフの変異体を作製し検討したところ、GPNMBによるEMTや腫瘍形成誘導に重要なドメインおよびモチーフを同定することができた。今後より詳細なメカニズムを検討することで、乳がん治療の標的となりうる分子を見出す。またGPNMBに結合する特殊環状ペプチドのスクリーニングは終了し、特異的に結合する環状ペプチドを得ることができた。抗腫瘍効果の判定試験も開始しているが、個体を用いた検討には、血清中での安定性をより向上させる必要があることが分かり、今後さらなる改良が必要である。
得られた成果をScience Signaling誌に発表した。これは所属機関である筑波大学のホームページ上で私たちの研究成果について紹介したものである。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Science Signaling
巻: 10 ページ: 印刷中
10.1126/scisignal.aak9397
http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201704120300.html