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2015 年度 実施状況報告書

新規癌抑制遺伝子PP6機能不全による発癌機構、PP6を標的とする治療開発の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 15K19081
研究機関地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所)

研究代表者

林 克剛  地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (30726302)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード腫瘍
研究実績の概要

申請者らは、PP6の発がんへの関与を明らかにする目的で、PP6と結合するタンパクのスクリーニングを行い、中心体のタンパク、CP110を同定した。そこでPP6のノックダウンを行い、中心体の数や分離異常が起こることを確認したことから、PP6は中心体の機能制御に必須であり、おそらく、がん抑制遺伝子として働く可能性を考えた。そこで、がん抑制遺伝子として働くか否かを検証するため、皮膚の2段階発がん実験を行い、PP6の機能が欠失している皮膚では、DMBA誘導発がんに対する感受性が亢進している事を明らかとした。また、その機能を明らかにする過程で、PP6の活性を欠損している組織においては、NFkBシグナルが増強していることが明らかとなった。しかし、その基質タンパクは現在のところ不明である。また、DMBA以外の環境変異物質による発がん性にたいしても、PP6の欠損は感受性が亢進するのか否かが重要な課題となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

サイトケラチン14プロモーターにより、扁平上皮の基底層においてCRE-TAMが発現するマウスと、floxed-Ppp6cゲノムをもつマウスを掛け合わせて、タモキシフェンを腹腔内投与することにより、皮膚、舌、咽頭、食道で高頻度にPpp6cの遺伝子が欠損するシステムを作製した。このシステムで、まず環境変異源物質であるし紫外線による皮膚発がん実験を行った。その結果、BL6の背景をもつマウスにおいても、PP6の活性が減少したマウス皮膚において、紫外線照射は、強く腫瘍を発生させることが分かった。この場合の腫瘍は扁平上皮であることから、単なる腫瘍化ではなく悪性化になっていることが明らかとなり、Ppp6cのがん抑制遺伝子としての重要性が再確認された。

今後の研究の推進方策

Ppp6cflox/flox; K14-CreTAM; LSL K-rasG12Dマウスを用いて、K-rasG12D発現による、K14ケラチン発現細胞(皮膚表皮、口腔粘膜、食道の重層扁平上皮の基底層の細胞)における、PP6の欠損と変異K-rasの相乗効果を詳細に検討する。プライマリーのPP6欠損細胞を用いてDMBA、電離放射線、UV、ブレオマイシン、カンプトテシン、に対する影響を以下で調べる。①細胞生存 ②γH2AXのリン酸化状態 ③DNA損傷(コメットアッセイ) ④DNA-PK活性化(RPA32のリン酸化)

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Abrogation of protein phosphatase 6 promotes skin carcinogenesis induced by DMBA.2015

    • 著者名/発表者名
      Katsuhisa Hayashi, Yuki Momoi, Nobuhiro Tanuma, Ayako Kishimoto, (8), Kayoko Fukamachi, Yoichiro Kakugawa, Yoji Yamashita, Shigemi Ito, Ikuro Sato, Akira Suzuki, Miki Nishio, Masami Suganuma, Toshio Watanabe and Hiroshi Shima
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 34(35) ページ: 4647-55

    • DOI

      10.1038/onc.2014.398.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loss of protein phosphatase 6 in mouse keratinocytes increases susceptibility to ultraviolet-B-induced carcinogenesis.2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kato, Koreyuki Kurosawa, Yui Inoue, Nobuhiro Tanuma, Yuki Momoi, Katsuhisa Hayashi, Honami Ogoh, Miyuki Nomura, Masato Sakayori, Yoichiro Kakugawa, Yoji Yamashita, Koh Miura, Makoto Maemondo, Ryuichi Katakura, Shigemi Ito, Masami Sato, Ikuro Sato, Natsuko Chiba, Toshio Watanabe, and Hiroshi Shima
    • 雑誌名

      Cancer Letters

      巻: 365(2) ページ: 223-228

    • DOI

      10.1016/j.canlet.2015.05.022

    • 査読あり
  • [学会発表] "プロテインホスファターゼ6型(PP6)は、皮膚がん抑制遺伝子として働く2016

    • 著者名/発表者名
      井上 維、黒沢 是之、小河 穂波、加藤 浩之、林 克剛、野村 美有樹、田沼 延公、渡邊 利雄、島 礼
    • 学会等名
      平成27年度 個体レベルでのがん研究支援活動 ワークショップ
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル(滋賀県・大津市)
    • 年月日
      2016-02-03 – 2016-02-04
  • [学会発表] 皮膚Ppp6c欠損マウスは、UVB誘導皮膚扁平上皮発がんに高感受性となる2015

    • 著者名/発表者名
      加藤浩之、田沼延公、三浦康、角川陽一郎、椎葉健一、山下洋二、林克剛、野村美有樹、佐藤郁郎、伊藤しげみ、渡邊利雄、島礼
    • 学会等名
      第74回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
  • [学会発表] UVB照射により、Ppp6c欠損では、高頻度に皮膚扁平上皮癌が発生する2015

    • 著者名/発表者名
      加藤浩之、田沼延公、黒沢是之、井上維、林克剛、小河穂波、野村美有樹、渡邊利雄,島礼
    • 学会等名
      第81回 日本化学会東北支部例会
    • 発表場所
      東北大学さくらホール(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2015-05-09 – 2015-05-09

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公開日: 2017-01-06  

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