免疫記憶は生体による病原体感染防御にとって必須の現象であるものの、マラリアに対する免疫記憶の形成・維持機構はほとんど分かっていない。したがって、如何にしてマラリア免疫記憶機構が働いているのかを解明することは、マラリア研究において極めて重要な課題である。本研究は、γδ T細胞の機能解析を基軸としてマラリア免疫記憶機構の分子基盤を解明することを目的としている。 まず、弱毒株と強毒株のマウスマラリア原虫感染を組み合わせた免疫記憶実験系において、抗体によるγδ T細胞除去をおこない、免疫記憶の形成・維持にγδ T細胞が重要であるのか検証した。弱毒株の感染後90~120日目に抗体によりγδ T細胞除去をして、さらにその60日後に強毒株のチャレンジ感染をすると、コントロールと比較してパラシテミアの増加割合が高くなった。この結果は、免疫記憶細胞の維持にγδ T細胞が重要な働きを担っている可能性を示唆するものである。 また、抗体産生に対するγδ T細胞の影響の解明するため、弱毒株マラリア原虫の感染前後の脾臓のTfh細胞やマラリア原虫特異的な抗体産生細胞の細胞数についてフローサイトメーターを用いて解析した。また、血中におけるマラリア原虫特異的抗体レベルについてELISAを用いて解析した。さらに、免疫記憶維持におけるγδ T細胞の影響を解明するため、弱毒株マラリア原虫感染後90~120日目に抗体によりγδ T細胞除去をしてさらにその60日後に血中におけるマラリア原虫特異的抗体レベルについてELISAを用いて解析した。 現在、研究結果の一部について論文を投稿している最中である。
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