研究課題
結核菌PE_PGRS62は病原因子であり、マクロファージ内でオートファジーを抑制することを見出した。一方でヒトII型肺胞上皮細胞(A549細胞)内ではPE_PGRS62はラメラ封入体様オルガネラの形成を誘導した。PE_PGRS62の発現により、この細胞内でベシクルが観察された。このベシクルは中性脂肪染色を行って陽性だったため脂質を含んでいることが分かった。また、GFP-PE_PGRS62発現により形成されたベシクルのサイズ直径が0.35~2.59 umであり、GFPを発現した細胞内のベシクルは0.35~1.12 umであった。GFP-PE_PGRS62発現したA549細胞内で直径が1.2 um以上のベシクルは37%であった。脂質を含んだベシクルはマウスII型肺胞上皮細胞(T7細胞)内でもGFP-PE_PGRS62の発現により誘導された。A549細胞およびT7細胞内では、発現量が比較的低い安定的にGFP-PE_PGRS62でベシクル形成が誘導されたが、HeLa細胞やMCF7細胞は安定発現ではベシクル形成が誘導されなかったが、プラスミドトランスフェクションによりGFP-PE_PGRS62を一過発現させた場合には細胞内でベシクル形成が観察された。ATP-binding cassette transporter A3(ABCA3)はII型肺胞上皮細胞におけるサーファクタント代謝に必須なトランスポーターであり、ラメラ封入体のマーカータンパク質であると考えられている。GFP-PE_PGRS62により形成されたベシクルにABCA3は共局在した。したがって、結核菌の病原因子PE_PGRS62がII型肺胞上皮細胞内でラメラ封入体様オルガネラを形成させることが明らかとなった。
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Journal of Immunology
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