抗デングウイルス化合物を用いたウイルス複製機構の解析

2016 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K19109
• 研究機関: 公益財団法人東京都医学総合研究所
• 研究代表者: 日紫喜 隆行 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (30535761)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: デングウイルス / ケミカルバイオロジー / 抗ウイルス化合物

研究実績の概要

本研究ではケミカルバイオロジー的手法を用いてデングウイルス複製に関与する宿主因子を同定し、ウイルス複製制御機構を明らかにすることを目的としている。今年度は昨年度フォーカスアッセイによって絞り込んだ抗ウイルス候補化合物についてさらに詳細な解析を行った。まず、候補化合物を全ての血清型（1型から4型）感染性デングウイルスとそれぞれ3日間共培養し、その後培養上清中に放出されたウイルス力価をプラークアッセイによって解析した。その結果、フォーカスアッセイ同様顕著な抗デングウイルス活性が認められた。また、Time of drug additionアッセイおよび一過性レポーターレプリコンの系を用いた解析から、候補化合物の作用点はウイルス生活環のなかで翻訳とゲノム増幅の間の過程であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

抗ウイルス化合物の探索および同定に成功し、さらに作用点の絞り込みまで行えたことから、デングウイルス複製制御機構の解明に向けて着実に前進している。

今後の研究の推進方策

siRNAによって候補化合物のターゲット因子の発現を抑制し、ウイルス複製への関与を解析する。また、候補化合物耐性ウイルスを樹立し解析することによって抗ウイルス化合物の標的宿主因子を明らかにし、宿主因子によるウイルス複製制御機構の解明を試みる。

次年度使用額が生じた理由

各解析を進めていく中でsiRNAや抗体の反応性が期待を下回るものであったため再購入する必要が生じた。また、年度内に論文が受理されなかったことから計上していた論文掲載費を次年度使用することにした。

次年度使用額の使用計画

各種試薬（siRNAや抗体など）および論文の掲載費として使用する。

研究成果

• [雑誌論文] Novel antiviral activity of bromocriptine against dengue virus replication. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kato Fumihiro, Ishida Yuki, Oishi Shinya, Fujii Nobutaka, Watanabe Satoru, Vasudevan Subhash, Tajima Shigeru, Takasaki Tomohiko, Suzuki Yoichi, Ichiyama Koji, Yamamoto Naoki, Yoshii Kentaro, Takashima Ikuo, Kobayashi Takeshi, Miura Tomoyuki, Igarashi Tatsuhiko, Hishiki Takayuki.
  • 雑誌名: Antiviral Res. 巻: 12 ページ: 141-7
  • DOI: 10.1016/j.antiviral.2016.04.014
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Dengue Virus Reporter Replicon is a Valuable Tool for Antiviral Drug Discovery and Analysis of Virus Replication Mechanisms. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kato Fumihiro, and Hishiki Takayuki.
  • 雑誌名: Viruses. 巻: 8 ページ: 122
  • DOI: 10.3390/v8050122
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [学会発表] Development of dengue virus replicon cells expressing secretory luciferase (2016)
  • 著者名/発表者名: Takayuki Hishiki, Fumihiro Kato, Shigeru Tajima, Tomoyuki Miura, Tatsuhiko Igarashi, Tomohiko Takasaki, Michinori Kohara
  • 学会等名: 第64回日本ウイルス学会学術集会
  • 発表場所: 札幌コンベンションセンター（北海道札幌市）
  • 年月日: 2016-10-23 – 2016-10-25
• [学会発表] 分泌型ルシフェラーゼを発現するデングウイルスレプリコン細胞の樹立 (2016)
  • 著者名/発表者名: 日紫喜隆行、加藤文博、田島茂、三浦智行、五十嵐樹彦、高崎智彦、小原道法
  • 学会等名: 第23回トガフラビペスチウイルス研究会
  • 発表場所: 北海道大学（北海道札幌市）
  • 年月日: 2016-10-22 – 2016-10-22
• [学会発表] Bromocriptine is a novel inhibitor of dengue virus replication (2016)
  • 著者名/発表者名: Takayuki Hishiki, Fumihiro Kato, Yuki Ishida, Shinya Oishi, Satoru Watanabe, Subhash G. Vasudevan, Shigeru Tajima, Tomohiko Takasaki, Tomoyuki Miura, and Tatsuhiko Igarashi
  • 学会等名: 4th Antivirals Congress
  • 発表場所: Barcelona (Spain)
  • 年月日: 2016-09-18 – 2016-09-21
  • 国際学会
• [学会発表] デングウイルス1型レポーターレプリコン細胞の樹立 (2016)
  • 著者名/発表者名: 日紫喜隆行、加藤文博、田島茂、三浦智行、五十嵐樹彦、高崎智彦
  • 学会等名: 第51回日本脳炎ウイルス生態学研究会
  • 発表場所: ホテルリステル猪苗代（福島県耶麻郡）
  • 年月日: 2016-05-13 – 2016-05-14
• [図書] Hepatitis C Virus I (2016)
  • 著者名/発表者名: Hishiki Takayuki, Shimizu Yuko, Ujino Saneyuki, Nishitsuji Hironori, Shimotohno Kunitada.
  • 総ページ数: 18
  • 出版者: Springer book
• [産業財産権] 抗デングウイルス剤及びそのスクリーニング方法 (2016)
  • 発明者名: 日紫喜隆行、加藤文博、石田裕樹
  • 権利者名: 日紫喜隆行、加藤文博、石田裕樹
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 特願2016-140294
  • 出願年月日: 2016-07-15
  • 取得年月日: 2016-07-29