本研究ではケミカルバイオロジー的手法を用いてデングウイルス複製に関与する宿主因子を同定し、ウイルス複製制御機構を明らかにすることを目的としている。今年度は昨年度同定した候補化合物について詳細な抗ウイルス活性機構の解析をおこなった。まず、薬理活性情報から得られた候補化合物のターゲット宿主因子の発現をsiRNAによって抑制した細胞にデングウイルスを感染させ、3日間培養した後の培養上清中に放出されたウイルス力価をプラークアッセイによって解析した。その結果、ウイルス力価の変化が認められなかったことから、抗ウイルス活性は予想された宿主因子を介するものではないことが示唆された。また、化合物とデングウイルスを共培養し続け化合物耐性ウイルスの作出および解析をおこなった結果、候補化合物の作用点はウイルスの非構造タンパク質であることが示唆された。
|