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2016 年度 実施状況報告書

機能的な胸腺の維持および退縮機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19125
研究機関京都大学

研究代表者

瀬海 美穂  京都大学, 医学研究科, 助教 (50737533)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード免疫 / 胸腺
研究実績の概要

胸腺上皮細胞のコロニー形成能は、生後直後に急激に低下し、さらに加齢に伴い低下することをこれまでに示してきた。しかし、従来の培養系では成体期マウス由来のコロニー細胞を検出することは困難であった。前年度は培養系の改良により、成体期マウスにおいてもコロニーを検出することに成功し、成体期マウス由来のコロニー細胞の解析が可能となった。
本年度は、前年度に確立した新たなコロニー培養系を用い、胎生期および成体期に形成されるコロニー細胞において、遺伝子・タンパク質の発現解析と機能解析を行った。胎生期と成体期マウスでは、形成されるコロニーの数と大きさが異なるだけでなく、異なる性質を示すコロニー細胞が形成されることがわかった。さらには、胎生期マウス由来のコロニー細胞は数世代の継代が可能であるが、成体期マウス由来のほとんどのコロニー細胞は継代が不可能であることから、加齢とともに胸腺上皮細胞の自己複製能が低下することが示唆された。これらの結果から、加齢に伴いコロニー細胞の性質が変化することが考えられる。
T細胞の分化が初期で停止するRag2-/-マウスでは、成体期マウスにおいてもコロニー形成能が高く維持されているという前年度の結果から、胸腺内のT細胞分化がコロニー形成能に影響を与えている可能性が考えられた。そこで、本年度は、Rag2-/-マウスに野生型マウスの骨髄を移植し、そのコロニー形成能を評価した。骨髄移植後、Rag2-/-マウスのコロニー形成能は野生型マウスと同程度までに低下し、正常なT細胞分化がコロニー形成能を低下させることが明らかになった。また、T細胞分化に異常のある数種類の変異マウスを用いて、それらのコロニー形成能を比較することで、コロニー形成能に影響を与えうる胸腺内のT細胞集団を絞り込むことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

胸腺上皮細胞のコロニー形成能に影響を与えうる胸腺内の細胞集団と、コロニー細胞の加齢に伴う性質の変化を明らかにした。

今後の研究の推進方策

加齢に伴うコロニー形成能の低下のメカニズムを分子レベルで解明する。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子欠損マウスの入手が次年度となるため。

次年度使用額の使用計画

マウスを入手後、計画通り研究を実施する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Medullary thymic epithelial stem cells: role in thymic epithelial cell maintenance and thymic involution.2016

    • 著者名/発表者名
      Yoko Hamazaki, Miho Sekai, Nagahiro Minato
    • 雑誌名

      Immunological Reviews

      巻: 271 ページ: 38-55

    • DOI

      10.1111/imr.12412

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Obesity accelerates T cell senescence in murine visceral adipose tissue.2016

    • 著者名/発表者名
      Kohsuke Shirakawa, Xiaoxiang Yan, Ken Shinmura, Jin Endo, Masaharu Kataoka, Yoshinori Katsumata, Tsunehisa Yamamoto, Atsushi Anzai, Sarasa Isobe, Naohiro Yoshida, Hiroshi Itoh, Ichiro Manabe, Miho Sekai, Yoko Hamazaki, Keiichi Fukuda, Nagahiro Minato, and Motoaki Sano
    • 雑誌名

      The Journal of Clinical Investigation

      巻: 126 ページ: 4626-4639

    • DOI

      10.1172/JCI88606

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Thymopoiesis regulates clonogenic activity of thymic epithelial cells2017

    • 著者名/発表者名
      Miho Sekai, Yoko Hamazaki, Nagahiro Minato
    • 学会等名
      7th International Workshop of Kyoto T Cell Conference
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2017-03-13 – 2017-03-17
    • 国際学会
  • [学会発表] Identification and analysis of medullary thymic epithelial cells constituting Hassall’s corpuscles in the murine thymus2017

    • 著者名/発表者名
      Jianwei Wang, Miho Sekai, NAgahiro Minato, Yoko Hamazaki
    • 学会等名
      7th International Workshop of Kyoto T Cell Conference
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2017-03-13 – 2017-03-17
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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