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2015 年度 実施状況報告書

CD4陽性T細胞の確率的な活性化によって制御される抗原特異的な細胞増殖

研究課題

研究課題/領域番号 15K19128
研究機関大阪大学

研究代表者

町山 裕亮  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員(常勤) (40704606)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード獲得免疫 / 抗原特異性 / 制御性T細胞 / 単一細胞操作 / ライブセルイメージング
研究実績の概要

免疫系は生体に備わる防御機構で、獲得免疫系ではある抗原に対してその抗原特異的に反応する免疫細胞のみが応答する。個体、組織レベルでは見事に抗原特異性を示す一方で、単一細胞系ではCD4陽性T細胞が初めて抗原と出会った時の抗原特異性は極めて低いことを事前実験で示していた。本研究では、CD4陽性T細胞のサブタイプに分類したり、抗原提示細胞の状態を変化させたりすることで、CD4陽性T細胞が抗原特異性を獲得する条件を探索する。
単一細胞系の実験はCD4陽性T細胞をガラス管で捕捉した後、ガラス面に吸着させた目的の抗原提示細胞と直接接触させて行った。CD4陽性T細胞はOVAペプチド特異的に反応するトランスジェニックマウスDO11.10から精製し、ナイーブT細胞と免疫応答に抑制的に機能するとされる制御性T細胞に分類した。CD4陽性T細胞は抗原認識後活性化することが最初の免疫反応なので、活性化の指標として細胞内カルシウム濃度の上昇をカルシウム指示薬Rhod-2を用いて計測した。
ナイーブT細胞をOVA有の単一の抗原提示細胞と接触させても活性化する細胞は20%程度で、最初の抗原認識時の抗原特異性は低いことを示した。しかし、抗原提示細胞に他の抗原提示細胞やT細胞が結合していると活性化する細胞は40%にまで上昇することが分かった。さらに、抗原提示細胞に結合している細胞がナイーブT細胞の場合活性化する細胞は50%を越えた。一方で制御性T細胞が結合していると活性化する細胞は30%に抑えられる。このように抗原提示細胞の状況が変化することによって初めて抗原と出会うナイーブT細胞の応答性が制御されていることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

単一細胞操作の実験系を問題なく立ち上げることができたので、多様な状況下での実験が遂行でき、抗原特異性が低い状況と高い状況を作り出すことに成功し、計画していた段階まではプロジェクトを前進できた。
実験系に関しては、当初はCD4陽性T細胞のサブタイプや抗原提示細胞の分類や生死判定を顕微鏡下で全て行うために顕微鏡の自動化が必要と考えていた。2台の計測カメラを別々に制御したり光学系を工夫することで細胞の分類とCD4陽性T細胞の細胞内カルシウム濃度の計測を簡単に手早くできるようになったため、当初予定したより実験の試行回数も増やすことができた。

今後の研究の推進方策

抗原提示細胞の状況が変化することによって初めて抗原と出会うナイーブT細胞の応答性が制御されていることが分かったので、本年度は応答性の変化が抗原提示細胞かT細胞がどちらに起因するものか時空間的に解析していく。
同時に計測結果に基づく理論モデルを構築してCD4陽性T細胞が抗原特異性を示すようになるメカニズムを理解していく。

次年度使用額が生じた理由

計測する顕微鏡を自動化するために電動化ソフトウェアを導入予定であったが、光学系の工夫などで自動化しなくても研究が進めることができるようになったため。

次年度使用額の使用計画

今後の実験計画としてCD4陽性T細胞を時空間的に制御することを考えている。現在のところ細胞の捕捉、操作は手動で行っているが、計測の再現性・正確性を出すためには手動では困難であることが予想される。次年度使用額は当初予定していた消耗品の購入以外に細胞操作系を必要に応じたアップグレードする費用に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Single-molecule fluorescence microscopy reveals the role of Src SH3-domain in the mobility of c-Src at the cell membrane2015

    • 著者名/発表者名
      Machiyama Hiroaki
    • 学会等名
      2015 ASCB annual meeting
    • 発表場所
      San Diego Convention Center(米国)
    • 年月日
      2015-12-12 – 2015-12-16
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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