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2016 年度 実施状況報告書

CD4陽性T細胞の確率的な活性化によって制御される抗原特異的な細胞増殖

研究課題

研究課題/領域番号 15K19128
研究機関東京医科大学

研究代表者

町山 裕亮  東京医科大学, 医学部, 助教 (40704606)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード獲得免疫 / 抗原特異性 / 単一細胞操作 / ライブセルイメージング / 数理モデル
研究実績の概要

獲得免疫系における抗原特異性は単一細胞レベルにおいても機能すると考えられていたが、CD4陽性T細胞(ナイーブT細胞)の抗原特異的な活性化は単一細胞レベルでは非常に乏しく、さらに相互作用する抗原提示細胞に結合している細胞種によりナイーブT細胞の応答性が変化することを昨年度までに明らかにした。
本年度はナイーブT細胞の応答性の時間的変化を昨年度までに構築した単一細胞の実験系を用いて計測し、これらの実験結果をもとに数理モデルを構築した。
ナイーブT細胞の抗原への応答性が時間的に上昇するか、1回目の接触で活性化した細胞を再度抗原提示細胞に接触させてその応答性を調べた。その結果、1回目と同じ抗原提示細胞に複数回接触させても、異なる抗原提示細胞に接触させても活性化してから30分までは2度目の活性化は認められなかった。これは活性化によるT細胞受容体の細胞内への取り込みにより抗原認識能が低下することを反映したと考えられる。不応答期からの回復はT細胞の活性化マーカーであるCD69の発現と相関があり、抗原応答性は1回目の接触時より上昇することが分かった。
以上の実験パラメータを用いて、システムとして抗原特異性を示す数理モデルを構築した。抗原特異性を示すまでに抗原提示細胞と接触できる回数を不応答期を考慮して40回と設定した。10000個のT細胞と抗原提示細胞がランダムに接触し、活性化するごとに活性化レベルを1つ上昇させて40回の試行により閾値が設定できるかを調べた。単一細胞同士の接触だけを認めた場合では閾値は設定できなかったが、活性化したT細胞の抗原提示細胞からの解離係数を低くすると閾値を設定することができた。このようにT細胞の活性化により他のT細胞の活性化を促進することで、個々のT細胞の応答能が低くてもシステムとして抗原特異性が保たれることを示すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験系の構築、ナイーブCD4陽性T細胞の抗原特異性の変化および理論モデルへの展開は当初の計画通り進み、一定の結果は得られた。しかし、2016年10月より異動に伴い、得られた結果の検証実験の試行回数が十分でなかったので論文投稿に至らなかった。しかし、試行回数を増やしていっても結論が変更されることはほとんどないと言える。

今後の研究の推進方策

昨年度までに得られた実験結果を確定させて、論文の共著者らと議論を重ねて、免疫学的に重要な結論を導きだす。これらの成果を学術論文に発表することで、本研究を完結させる。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では、2016年度中に成果発表をする予定であったが、2016年10月より研究代表者の所属機関が変更になったため、最終的な成果発表に至らなかった。

次年度使用額の使用計画

実験に必要な道具だては既に揃っているので、実験結果をまとめあげ、繰り越した助成金は本年度中の成果発表に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Non-label immune cell state prediction using Raman spectroscopy2017

    • 著者名/発表者名
      Taro Ichimura, Liang-da Chiu, Katsumasa Fujita, Hiroaki Machiyama, Tomoyuki Yamaguchi, Tomonobu M. Watanabe, Hideaki Fujita
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 6 ページ: 37562

    • DOI

      10.1038/srep37562

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ナイーブT細胞の抗原応答性は相互作用する細胞組成により調節される2017

    • 著者名/発表者名
      町山 裕亮
    • 学会等名
      第6回日本生物物理学会関東支部会
    • 発表場所
      早稲田大学先端生命医科学センター
    • 年月日
      2017-03-13 – 2017-03-14
  • [学会発表] 獲得免疫応答におけるTリンパ球の単一細胞測定系の開発2016

    • 著者名/発表者名
      町山 裕亮, 山口 智之, 渡邉 朋信, 藤田 英明
    • 学会等名
      第54回日本生物物理学会大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      2016-11-25 – 2016-11-27

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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