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脾臓は、老化赤血球の除去や鉄の再利用を担う赤脾髄、免疫応答の場である白脾髄、そしてリンパ球移入領域である辺縁帯、立体構造を支える被膜・脾柱から構成されている。近年、濾胞樹状細胞、線維性細網細胞、辺縁帯細網細胞、そして赤脾髄線維芽細胞という脾臓の各構成要素に局在し、微小環境（ニッチ）を形成している間葉系ストローマ細胞の重要性が明らかになっている。しかしながら、これら間葉系ストローマ細胞が、どのように供給・維持されているのかについては、殆ど明らかになっていない。我々は、脾臓形成マスター制御因子であるTlx1を発現する細胞集団 (Tlx1発現細胞)に焦点を当て、脾臓微小環境とTlx1発現細胞の関係性を明らかにする事を目的とし、研究を行った。脾臓におけるTlx1発現細胞の性状は、CD105+、PDGFRα/β+、CD44+、Ltβ受容体+の細胞集団であり、さらにTlx1発現細胞が濃縮される細胞分画は、脂肪、骨芽細胞、軟骨細胞への分化能力を有する細胞群であることから、Tlx1発現細胞は、間葉系前駆細胞である事を明らかにした。さらに、胎児期、新生児貴、成体におけるTlx1発現細胞の細胞系譜解析から、Tlx1発現細胞は、濾胞樹状細胞、線維性細網細胞、辺縁帯細網細胞、そして赤脾髄繊維芽細胞の全ての脾臓微小環境を構成するストローマ細胞への分化能を有している事が明らかとなった。興味深い事に、胎児期脾臓を腎被膜下へ移植する事によって異所的に人工脾臓を形成させた所、脾臓再生期においてもTlx1発現細胞は全ての成熟ストローマ細胞へ分化した。従って、Tlx1発現細胞は胎児期、新生児貴、成体で維持され続ける細胞であり、さらに脾臓再生期においても脾臓微小環境を構成するすべての間葉系ストローマ細胞への分化能を有している事が明らかとなった。
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