研究課題
前年度は、ブタクサ花粉症モデルマウスにディーゼル排気微粒子(DEP)を点鼻し、DEPがアレルギー性鼻炎の増悪に関与することを見いだした。また、DEPは鼻粘膜上皮細胞においてROSの産生を誘導することでタイトジャンクションを破壊し、抗原透過性を高めることを明らかにした。本年度は、肺においてDEPはTLR4の経路を活性化することが報告されていたことから、鼻においてもDEPがTLR4の経路を活性化しアレルギー症状を悪化させるかを検討した。TLR4ノックアウトマウスにDEPを点鼻する実験を行った結果、TLR4ノックアウトマウスにおいてもWTマウス同様に鼻粘膜上皮細胞のタイトジャンクション構成タンパク質(ZO-1)の発現低下、およびアレルギー症状の悪化が認められた。また、TLR2ノックアウトマウスを用いた場合も同様の結果が得られた。これらの結果は、DEPによるアレルギー性鼻炎の悪化にはTLR2やTLR4の経路は関与していないことが示唆された。また、DEPはIL-33/ST2の経路を介し、肺のアレルギー性炎症を悪化させることが報告されている。DEPが鼻粘膜上皮細胞からのIL-33等のサイトカイン産生を促進することでアレルギー性鼻炎の悪化に関与するかを検討した。ヒトの鼻粘膜上皮細胞(RPMI2650細胞)にDEPの刺激を行ったところ、IL-33やTSLPのmRNAの発現に変化は認められなかった。また、IL-33ノックアウトマウスにブタクサ花粉症を誘導し、ブタクサ花粉とDEPを同時点鼻した結果、IL-33ノックアウトマウスにおいてもアレルギー性鼻炎症状の悪化が認められた。これらの結果から、肺におけるDEPの作用とは異なりDEPによるアレルギー性鼻炎の悪化にはROSの産生が大きく関わる可能性が示唆された。
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Journal of Allergy and Clinical Immunology
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アレルギー
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