研究課題/領域番号 |
15K19141
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
日吉 真照 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (40448519)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | TARC / アレルギー |
研究実績の概要 |
ケモカインTARCは、過剰に産生されるとアレルギー炎症反応を引き起こす。特に、アトピー性皮膚炎では、病変部の表皮角化細胞などで過剰に産生されたTARCがTh2細胞を引き寄せ、それに伴って生じる免疫反応の亢進がアレルギー反応の原因と考えられている。本研究では、新たなTARCの受容体を同定し、アレルギー疾患の治療法に新たな知見を見出すことを目的としている。 これまでに、新規のTARC受容体を発現している可能性が高い細胞を見出しており、今回、この細胞株から新規TARC受容体の同定を試みた。 まず、細胞から効率良く受容体タンパク質を含んだ細胞抽出液の作製方法を検討した。その結果、NP-40含有の溶液で細胞を懸濁し、超音波処理をすることで、目的に合った細胞抽出液を作製することができた。この細胞抽出液をを用いて新規TARC受容体を探索して。細胞抽出液とTARC-Flag tagタンパク質と混合した後、TARC-Flag tagタンパク質を精製し電気泳動することで、TARC-flag tagタンパク質と結合したタンパク質を確認した。その結果、TARC-flag tagタンパク質と特異的に結合する可能性がある約40kDaのタンパク質を見出すことに成功した。現在、さらに他のTARC-flag tagタンパク質と結合するタンパク質をさらに検索すると共に、既に見出した約40kDaのタンパク質がどのような特徴を持っているのか質量分析等で解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は新規TARC受容体の同定であり、当初の計画通り、当該年度、その受容体の可能性があるTARC-flag tagと結合するタンパク質を見出すことに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
今回見出した新規のTARC受容体の可能性があるタンパク質について、質量分析等によってどのようなタンパク質であるか同定を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究の目的である新規TARC受容体の同定において、質量分析等のタンパク質解析が最も重要であり、かつ費用がかかる実験である。今回、解析のターゲットとなるタンパク質を見出すことに成功したが、当該年度においては質量分析等の解析を行うまでには至らなかったため、質量分析を行う次年度に助成金を使用することにした。
|
次年度使用額の使用計画 |
当該年度に見出すことに成功したタンパク質について、質量分析等のの解析を行う。これらの解析は専門性が高く、使用する機器も高額なため、より精密な解析を行うことができる企業に委託する。そのために助成金を使用する。さらに、タンパク質を同定した後に行う発現解析、機能解析、シグナル解析等に必要な試薬等に助成金を使用する。
|