目的:本研究は症例報告執筆プログラムを遠隔ネットワークシステム上運用し、対面講義と質的に差のないプログラムの構築を目指す研究である。 現状・方法:遠隔システムを用いての外部医育期間(札幌医科大学)への発信を試みる一方で、今後の研究の基礎となる対面講義の有効性の評価、ならびに潜在的な問題点の抽出とその解決への方策を検討した。東北大学医学部4年生から6年生で系統講義に参加し且つ本検討への参加に同意した18名を対象とした。アンケートへの回答を元に検討を行った。別に示す方法論の講義を聴講した後に各段落について「よく理解できた」から「まったく理解できなかった」を4段階のライカートスケールに基づいて回答した。なお「症例報告の執筆方法」講義は以下のような達成目標を有する小段落により構成されている。1)”何”が新事実なのかを明確にして、「新事実」と「臨床的意義」を記す、2)疾患の概略を把握、3)「違い」は論文の主題となりえるか?、の視点で考える.、4)論文の骨格・論理展開を作る、5)実際の症例から考える。 結果:理解度はいずれの項目も90%前後が「理解できた」との回答であった。詳細な記述回答として以下の回答が見られた。肯定的意見として、「分かりやすく目からうろこの内容。多人数に講義すべき」。建設的意見として、「各論stepの記載形式をもっとそろえるべき(「~とする」、や、体言止めなど)」「やや早口」「各スライドで最も強調する点を色調などで強調すべき」「全体の流れにおける、各スライドの役割を明示すべき」「疾患概略把握のための論文選択の基準を示すべき」「詳細な説明が必要」 考察:発表者の発表スキルに関連する意見は見られたものの、課題の趣旨である「よりよい症例報告執筆のための分かりやすい思考」に関しての疑問は無く明らかな問題点は認められなかった。発表の方法論は確立されていると考えている。
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