研究課題/領域番号 |
15K19146
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
末松 三奈 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (10728744)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソーシャルキャピタル / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
【目的】糖尿病コントロールに影響を及ぼすソーシャルキャピタル(SC)を探索する。 【方法】血糖コントロールとSCの関連を調査した。相田らの質問票に基づいて、1)「人々への信頼」2)「互いの助け合い」3)「社会での人付き合い」の3種の「SC質問票」を作成し使用した。目標症例数100人中、65人の中間報告をする。 【結果】対象は、2型糖尿病患者で協力が得られた65人(男42人/女23人、平均年齢70.7±9.25歳)。3種の「SC質問票」のうち、信頼性分析で信頼性の得られた後者2種(2),3))を用いて因子分析を行った。2)「互いの助け合い」から『周囲からの支援因子』という1因子が、3)「社会での人付き合い」から『社会運動因子』『昔ながらの人付き合い因子』『好きな事への参加因子』の3因子が抽出された。重回帰分析の結果、HbA1cは『周囲からの支援因子』と有意な正の相関、食事主観的達成度は『周囲からの支援因子』と有意な負の相関、運動主観的達成度は『周囲からの支援因子』と有意な負の相関、『好きな事への参加因子』と有意な正の相関を認めた。ロジスティック回帰分析の結果、『好きな事への参加因子』が合併症の有無に有意な因子として抽出された。 【考察】糖尿病コントロールに関連するSC因子は、『周囲からの支援因子』と『好きな事への参加因子』であった。周囲からの支援は、自己効力感と食事・運動主観的達成度を下げたが、土井らが報告している「甘え」の感情が関与したと考えられた。さらに、自己効力感と食事・運動主観的達成度が低いと糖尿病自己マネジメントが不良化し 、HbA1cが高値となったと考えられた。好きな事への参加は趣味やスポーツ等で屋外に出向く機会を反映し、積極的な生活が運動主観的達成度に正相関した。ストレスを軽減し、ストレスマネジメントが良好な血糖コントロールに関与し、合併症の発症を抑えた可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標症例数が100人であるが、軽度認知症を有する患者のアンケート結果の信憑性が乏しく反映させることができないため除外し、最終的に同意が得られた患者が65人であったため。終了期間まで、可能な限り目標症例数である100人に達するまで調査を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
明らかに認知症を有する患者を対象から除外しているが、軽度認知症を有するもの、MCIのものに関しては、家族が同席し回答の信憑性の確認を行った上で、アンケート結果に反映させる。 目標症例数100人に達するまで、対象患者さんのリクルートを行い、調査を継続する。糖尿病コントールおよび認知症に影響を及ぼすソーシャルキャピタル因子を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
産休・育休に伴い、調査状況に遅れが生じたため、目標症例数100人に到達するまで調査を継続するため。
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次年度使用額の使用計画 |
目標症例数100人に到達するまで、協力病院に赴き調査を継続する。認知機能低下と関連があるソーシャルキャピタルについて同定を検討する。
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