研究課題
本研究課題では、個人の全ゲノム情報を大規模に取り扱うパーソナルゲノム時代において、試料や情報を提供する研究協力者の積極的な研究関与のあり方について研究することを目的としている。具体的には、研究協力者への「インフォームド・コンセント」や「解析結果の開示」等における情報通信技術(ICT)の適用可能性に焦点を当てている。平成28年度は、ICTを用いたインフォームド・コンセント(動的同意、ダイナミック・コンセント)や、研究協力者やその家族への倫理的配慮について文献調査を行うとともに、米国のワシントン大学を中心とする先駆的事例について研究を進めた。ワシントン大学では、ゲノム解析結果の研究対象者への返却にICTを導入するMy46の開発を試行的に進めているほか、最近では、希少疾患の患者やその家族が主体的にゲノム情報や健康情報を共有するためのインターフェイスであるMyGene2の開発についても積極的に取り組んでいることが明らかとなった。このような取り組みを通じては、意思決定やアクセス、オーナーシップ等の観点から、ゲノム情報や医療情報の取り扱いをめぐる、患者やその家族、研究者、医療従事者等の裁量や責任についての課題と可能性が浮き彫りとなった。また前年度からの継続として、ゲノム研究やゲノム医療、行政指針に関する政策展開を整理し一部論考としてまとめるとともに、ICTの利活用に関する意識調査やバイオバンクへの応用可能性等についても研究を深めた。
2: おおむね順調に進展している
予定通り、ICTの研究環境への導入に関する既存文献調査や、英国や米国における先駆的事例について調査・分析できているため。
次年度は、文献・ヒアリング調査の継続に加え、個人情報保護法や行政指針の改正の影響にも配慮しつつ、ICTの応用可能性に取り組む予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
医療・生命と倫理・社会
巻: 14 ページ: 52-60
BMC Medical Ethics (Review)
巻: 17 ページ: 39
10.1186/s12910-016-0124-2
BMC Medical Ethics
巻: 17 ページ: 51
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