研究課題/領域番号 |
15K19151
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
金城 文 鳥取大学, 医学部, 講師 (50529427)
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研究期間 (年度) |
2015-03-01 – 2020-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 事前指示 / 終末期医療 / 地域在住高齢者 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
平成29年3月までにコホートの対象者6名をリクルート、初回面接調査を実施していた。 平成29年4月以降も継続して、コホート研究参加者のリクルートと初回面接調査をおこなった。平成30年3月までに合計24名から同意を得て、初回面接調査をおこなった。同意の取得や面接調査に時間を要し、一人の調査につき、短い者でも1時間、長い場合は3時間近くを要した。初回調査で、各医療施設で採用されている各医療行為の項目を希望するかどうか、についての質問をおこなっているが、ひとつひとつの医療行為を確認することは、理解の上でも、各個人の決断の上でも、非常に困難であった。むしろ、”生命維持治療に関する医師による指示書(Physician Orders for Life-sustaining Treatment, POLST”のような患者の理解できる言葉で、”いかなる治療も望む”、”痛みや苦しみのみを取り除く治療だけを望む”、”いかなる医療行為も望まない”、””わからないと4択で示されている選択肢の方が、自分の意思を示しやすいようであった。今回の調査をおこなった24名のほとんどが”痛みや苦しみのみを取り除く治療だけを望む”と答えた。高齢であってもPOLSTの選択肢であれば、自分の意思を示すことが可能なようであった。 平成29年5月に開催されたヨーロッパ緩和ケア学会に参加した。ヨーロッパ諸国では、施設死亡が主であり、在宅死はほとんどないこと、北欧など福祉国家においても急性期病院で患者の事前指示がなく、救急患者が搬送されてきたときに、対応に困る状況があることなどを共有した。また、オランダ、英国などでは死亡3日以内にオピオイドを使用されているケースが施設入所者の6割を超えるなど、日本とは異なる状況も共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年9月から平成30年3月までは個人的な事情のため、対象者のリクルートがおこなえず、コホート研究対象者のリクルート数が目標に届かなかった。すでにリクルートした者のフォローアップや分析に遅れはない。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度中にコホート研究対象者のリクルートを終了する予定である。また、平成31年1月以降は、すでに2回目の面接調査を開始する。参加者リクルートを促進するため平成29年度に学会に参加し、島根県浜田市、鳥取県日野町等の在住者については、平成30年度に研究説明をおこなうこととした。 全員のリクルートが終了した時点で、初回調査結果をまとめ、学術大会、学術雑誌等で発表を行うのと同時に、研究参加者へも情報を公開する予定である。 最終年度である平成31年には2回目調査を継続すると同時に、イベントの発生をとらえるとともに、事前指示の変化についても分析をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年8月に長野県で参加者のリクルートと研究説明をする予定であったが、感染症にかかり、取りやめとなったため、次年度使用額が生じた。
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