研究課題/領域番号 |
15K19151
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
金城 文 鳥取大学, 医学部, 講師 (50529427)
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研究期間 (年度) |
2015-03-01 – 2020-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 事前指示 / 終末期医療 / 地域在住高齢者 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
平成30年3月までに合計24名から同意を得て、終末期の事前指示に関する初回面接調査を実施していた。平成30年度は新たに新たに41名の研究参加者を得て、研究参加者は合計65名となり、初回面接調査を終了した。計画当初、研究参加者100名程度を見込んでいたが、研究を遂行していくうちに、米国で用いられている”生命維持治療に関する医師による指示書(Physician Orders for Life-sustaining Treatment, POLST”の選択肢であれば、ほとんどの参加者が”痛みや苦しみのみを取り除く治療だけを望む”と回答しており、65名の研究参加者数で分析可能と判断した。 研究対象者の属性は、男性33名、女性32名、福島県34名、大阪府9名、鳥取県13名、島根県2名、沖縄県7名、年齢は65歳から93歳、自分の意思を自分で表明可能な者であった。比較的、終末期という言葉に関心を持っている、もしくはリテラシーや社会的地位が安定している方が研究参加者の中心であった。現在、初回調査結果を分析中である。終末期におこなう医療行為の一つ一つを確認するシートが医療現場で用いられていたり、エンディングノートなどに掲載されているが、医療行為そのものの理解が地域在住高齢者にとって十分でないため、回答が十分得られず、有用でないことが明らかであった。 また、初回調査から2年が経過した方のうち3名に、2回目追跡調査を実施した。この2年の間に重篤な病を患った者もいた。2年が経過した者に対してフォローアップ調査を実施するとともに、終末期の事前意思に関する変化の有無などを次年度分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2回目追跡調査を開始している。ただし、死期が差し迫った人を本研究の対象とすることは困難であったため、研究計画の最期に受けた医療との一致度を研究期間内に観察することは困難であると考えられる。その他については順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初回調査から2年が経過した者に対して、2回目追跡調査を随時行っていく予定である。2回目調査を行う中で、イベント発生があれば、そのイベントと本人の事前指示内容との一致度を確認していく。 初回調査の結果を分析し、地域在住高齢者の事前指示、アドバンス・ケア・プランニングの内容や進め方について明らかにし、報告書もしくは学術論文として公表する。米国で用いられている”生命維持治療に関する医師による指示書(Physician Orders for Life-sustaining Treatment, POLST”が地域在住高齢者にとっては、事前指示として表明しやすいが、それが終末期医療に携わる医療者にとって有用なものであるのかを検証する方法について検討する。そのために、国内外の学会や勉強会に参加し、情報収集をおこなう。
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