研究課題/領域番号 |
15K19151
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
金城 文 鳥取大学, 医学部, 講師 (50529427)
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研究期間 (年度) |
2015-03-01 – 2022-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 事前指示 / 終末期医療 / 地域在住高齢者 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
令和3年3月末までに、65名の初回面接調査、13名の2回目追跡面接調査が終了した。研究対象者は、男性51%、女性49%、年齢は65-74歳58%、75-84歳38%、85-94歳3%であった。家で家族を看取った経験がある者25%、家族を介護した経験がある者43%であった。終末期において病名も病状も告知してほしいと望む人86%(男性88%、女性84%)、告知を望まない人が12%(男性9%、女性16%)であった。家族と終末期の延命治療について十分話し合ったことがある人は25%(男性12%、女性38%)、全く話をしたことがない人が57%(男性67%、女性47%)で、女性の方が十分に話し合っていた。終末期において自身へおこなわれる医療行為の実施を判断する者について、家族に判断してもらいたい人が53%(男性52%、女性53%)、自分の示した意思で判断して欲しい人が39%(男性39%、女性38%)で男女差はなく、家族が最も多いが、家族よりも自身の判断を優先してほしい者も一定の割合存在した。わが国では、家族に判断を求めることが多いが、法的根拠はなく、本人の意向を尊重する必要性が示唆された。終末期に過ごす場所の希望は、自宅が28%(男性24%、女性31%)であり、在宅看取り経験あり者38%で、在宅看取り経験なし者25%よりも自宅を希望する割合が高かった。終末期の医療行為は、意識があるかどうか、が判断材料として重要であった。米国“生命維持治療に関する医師による指示書(POLST)”では、医療処置はどれも希望しない1.5%、痛みや不快な症状を取り除くことを最優先とする医療処置を希望する89.2%、可能な限りの医療処置を希望する1.5%、わからない7.7%であり、個々の医療行為を確認するより、包括的な質問で意向を確認する方が地域在住高齢者には答えやすいようであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
倫理審査の申請等に時間がかかり、初回調査の実施が遅れたため、研究の実施が後ろへずれこんだことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で追跡面接調査を延期したため。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の広がりによる移動制限と対面の差し控えにより、令和2年度の2回目の追跡面接調査実施は2名であった。調査票への回答やオンライン面接も検討したが、対象者が高齢であることにより、実施が難しく断念した。令和3年度は、面接調査方法の工夫をおこない、2回目面接調査未実施者に対する調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により追跡面接調査を実施できなかったため、延長を希望した。次年度使用額を利用して、残り、52名の追跡調査を実施する。
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