令和4年度末までに、65名に初回面接調査、47名に2回目追跡面接調査を実施した。令和4年度末までに2回目調査が実施できなかった理由は、死亡のため(3名)、入院のため(1名)、2回目調査辞退のため(1名)、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となったため(13名)であった。新型コロナウイルス感染症の影響で延期となった者については新型コロナウイルスが5類感染症となった以降に実施予定である。 令和4年度末までに2回目追跡面接調査を実施した47名について、インタビューで回答された延命医療の意向を、初回調査と2~4年後の2回目調査で比較した。延命治療の希望は、(1)1回目調査で延命治療を望まないと回答し、2回目調査でも同様に回答、(2)1回目調査では延命治療についてあいまいであったが、2回目調査で望まないとはっきり回答、(3)1回目調査でも2回目調査でも延命治療の希望はわからないと回答、(4)1回目調査で延命治療を望まないと回答したが、2回目調査で延命治療を望むに意向が変化、の4パターンに分けられた。(1)は1回目調査時点で、過去に身近な人の終末期を経験していた場合、(1)や(2)は1回目調査から2回目調査までの間に自身や身近な人が新たに病気を発症したり、体力の衰えを自覚した者で見られた。自身の病気発症や体力低下は、1回目調査での延命治療を望まない意向が強化される結果となっていた。延命治療の意向が望まないから望むに変化した(4)は、自身に新たな役割が生じ、「生きて存在すること」を家族から求められたことで変化していた。(1)(2)が大半を占め、大部分は高齢期の延命治療に対する考えは大きく変化しないが、高齢期に新たな役割を担うことになると(4)の変化もまれではあるが起こりえることが明らかになった。
|