研究課題/領域番号 |
15K19152
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
網谷 真理恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (90574400)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 漢方教育 / シミュレーション試験 / 評価法の開発 / OSCE / 多肢選択式問題 |
研究実績の概要 |
漢方医学教育のカリキュラム作成にあたっては、漢方医学教育の標準化が求められている本来求められている漢方医学的診察能力を評価できる方法の開発はまだ行われていない。本研究では、想起レベルから問題解決レベルまで各到達スキルに応じた統合的能力を評価するために、多肢選択式選択問題及びシミュレーション試験を用い、信頼性、客観性かつ妥当性の高い評価方法を新たに開発し、さらに同方法による適切な合否判定方法を示すことを目的とする。医学教育においては、多肢選択式問題とシミュレーション試験の組み合わせは効果的であることが知られており(Auewarakul C et al. Med Educ 2005)、多肢選択式問題は、医学生の臨床実習前の標準評価試験であるCBT(Computer Based Testing)として、シミュレーション試験は、医学生の基本的臨床能力を評価するための実技試験であるOSCE(Objective Structured Clinical Examination)として採用されている。また、模擬患者によるシミュレーション試験は、あらかじめ設定されたシナリオに沿って模擬患者が患者役を演じるパフォーマンスに基づく試験であり、臨床能力の評価法として妥当性が高く、OSCEにも採用されている。 多肢選択式選択問題、漢方医学的診察用シュミレーター及び模擬患者シミュレーション試験を用いた、信頼性、客観性かつ妥当性の高い評価方法の開発し、さらに同方法による適切な合否判定方法についての検討は、学術的な特色かつ独創的な点と考えられる。漢方医学教育の評価法を開発することで、漢方医学教育の標準化に貢献するものと予想される。また、合否判定についての検討を行うことで、進級判定や専門医試験への実用可能性も期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価法の開発として ①多肢選択式問題の作成に関し、基本レベルから高い問題解決レベルまでの各能力に応じた、必要と想定される幅広い能力を設定し、ブループリントの作成をすすめている。 ②漢方医学的診察用シュミレーター試験及び模擬患者を用いたシミュレーション試験の開発では、漢方医学的な問診など情報収集の要素、診察の要素、対人関係の要素を組み入れた初期診察レベルの課題シナリオを作成し、研修医に対して試験的に実施している。 b)漢方医学卒前教育の到達目標及び日本東洋医学会学術教育委員会の漢方研修コアカリキュラムに準じて、漢方医学教育に求められる能力を評価する評価票、統合的な概略評価は作成中である。映像記録システムであるPF-NOTEを導入し、試験の適正評価に向けた準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に準備したシミュレーター試験の課題シナリオおよび評価表を用いて、以下の研究を実施する予定である。明らかに漢方医学的能力の異なる、学生、研修医、漢方臨床経験3年以上の3つのグループを対象とし、多肢選択式試験及びシミュレーション実技試験を実施する。多肢選択式問題正答率及び識別指数を検討し、問題を修正する。シミュレーション試験の運営方法、評価表、評価項目の調整を行い、漢方薬の選択にいたるまでの高度な診察レベルを設定した課題シナリオを作成する。評価が適正に行われているかを映像フィードバックシステムであるPF-NOTEデータを解析し、評価する。
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