2017年度に試験の運営方法を確立し、模擬患者、指導者の育成、課題シナリオの作成を行い、2017年1月22日に第1回漢方OSCE試験を実施した。2018年度には、2017年度に実施した試験の妥当性及び信頼性、評価者間一致率について解析を行い、信頼性と妥当性を高めるための改善案を検討した。評価者ごとの評価点の差がみられたため、評価者間一致率改善のため、事前に評価者講習会を行った。また、学内教員の外部評価者に加え、他大学、他機関を含む外部評価者を動員し、計8名の評価者でOSCE試験評価の信頼性が向上するような取り組みを実施した。2017年度に実施した漢方OSCE試験で実施した3課題のCronbachのα係数は、3課題とも、α>0.8であり、信頼性が高いと判断し、2018年度の漢方OSCE試験で用いるシナリオは、2017年度の試験と同じシナリオを用いた。模擬患者は新たに5名の模擬患者を養成し、鹿児島大学の漢方試験に携わる模擬患者は計14名に増員した。模擬患者は医師2名で事前に面接及び漢方学的診察を行い、妥当性を高めるための検証を行った。さらに標準化された漢方診察時の演技ができるように演技指導を行った。 また、信頼性、客観性、妥当性を検証するため、映像音声システムの向上をはかり、画像および音声解析を可能とするために、医師役、患者役、評価者それぞれにピンマイクを装着しビデオ撮影を行い、PF-NOTEを用いて映像システムと試験評価結果の照合を行った。 2018年2月12日に第2回漢方ワークショップを実施し、評価者8名、模擬患者6名、受験者8名で漢方OSCE試験を実施し、現在試験結果を解析中である。 本研究により信頼性・妥当性・客観性の高い漢方OSCE試験による評価システムの基盤が構築され、漢方医学教育の標準化及び進級判定や専門医試験への実用化へ向けて更なる検証を行う。
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