研究課題/領域番号 |
15K19153
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
菅原 亜紀子 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40566808)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医学教育 / 継続診療 / コンピテンシー / コミュ二ケーション / 模擬患者 |
研究実績の概要 |
現在、日本人の4割近くが何らかの傷病で通院しており、70歳以上の通院率は7割にも上っている。通院目的の多くは生活習慣病をはじめとする慢性疾患の治療である。平成30年度の診療報酬改定においても、かかりつけ医機能の充実等により縦断的・横断的な診療の継続性を担保しようという動きがみられている。長期的に患者の健康問題をマネジメントするスキルは、医師にとって欠かせないものとなっている。 このような背景から、本研究は、継続診療のコミュニケーションスキルを学ぶ模擬患者(simulated Patient, SP)参加型教育プログラムを開発することを目的として開始した。 先行研究で診療の継続性の概念が定まっていないこと、また、継続診療を実践する上で医師がどのようなコンピテンシー(能力)を身につける必要があるか明らかでないことから、これまでに、診療の継続性の概念生成およびコンピテンシーの整理を行った。 先行研究のレビューにより、診療の継続性は、①家族などの近親者とのつながり、②同一の医療者による長期的診療、③他職種・他診療科との情報共有、④情報の時間的連続性、⑤地域の保健医療福祉機関との連携、⑥同一の地域・機関における長期的診療、の6つの側面に整理された。 平成29年度は、「継続診療に求められる医師のコンピテンシー」について、実践者である医師の視点から構成要素を探索するため、医師を対象としたインタビュー調査を実施した。これまでのインタビュー調査から、継続診療に必要な医師のコンピテンシーとして、患者を継続して診ることへの責任・モチベーション、人の人生と深く長く関わることへの精神的強さ、患者情報(人生、考え方を含む)の共有やコミュニケーション能力などが抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の人事異動により、教育プログラムの実施の場として予定していた授業およびSP養成の担当から離れ、当初予定していた授業内での教育プログラムの実施が困難となった。そのため、研究計画を変更する必要があり、遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、「継続診療に求められる医師のコンピテンシー」についてインタビュー調査を継続し、成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の人事異動により研究計画をインタビュー調査へと変更し、研究遂行の遅れが生じたため、研究費についても次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、研究対象者への謝金、インタビュー文字おこしのための外部委託費、国内外での学会発表に係る旅費・参加費および学術雑誌等への投稿・掲載費として支出する計画である。
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