本研究は、回復期リハビリテーション病棟に入院している65歳以上の高齢患者を対象に、多職種協働で患者の在宅復帰を支援するためのネットワークシステムを開発することを目的としている。具体的には、多職種間で患者のリアルタイムな活動状況を共有し、患者にフィードバックできるネットワークシステムを作成し、作成したネットワークシステムがサルコペニアを合併する患者にも有用か否かについて効果検証を行うことである。 初年度は、医療保険の診療報酬改定に伴う病棟再編や、測定機器の準備(機材およびソフトの変更)に時間を要したため、当初予定していた研究開始時期から遅れて進行していた。 最終年度は、初年度から引き続き、回復期病棟に入院している高齢患者の身体組成を計測した結果、測定開始からの1年間で100名を超える患者の協力が得られた。これらの結果をAsian working group for sarcopenia(AWGS)のアルゴリズムで使用する四肢骨格筋肉量(skeletal muscle mass index : SMI)を用いて判定した結果、高齢入院患者の約80%がAWGSの基準値を下回っていた。 次に、患者のリアルタイムな活動を評価するために、活動量計の検討を行った。活動量計は、振り子式センサ搭載型、一軸加速度センサ搭載型、二軸加速度センサ搭載型、三軸加速度センサ搭載型の4機種から検討した結果、三軸加速度センサ搭載型の活動量計を使用することで、妥当な歩数計測が可能となることが明らかとなり、患者の活動量を把握するためには、三軸加速度センサ搭載型の活動量計が有用であることが示唆された。
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