がん細胞の薬剤耐性にはその特異的代謝の関与が示唆されている。本研究では、HDAC阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)がエピジェネティック調節によって腎細胞癌(RCC)の偏った代謝を改善できるか、またその代謝シフトがRCCの第一選択薬であるスニチニブ(SU)の薬剤耐性に寄与するかどうか検討した。その結果、TSAはRCCの酸化的リン酸化を増加させ、アミノ酸や核酸の産生を抑制した。電子伝達系の複合体I阻害剤であるメトホルミンは、SUとTSAの増殖に対する併用効果を有意に減弱した。以上より、エピジェネティック調節薬はがん細胞の代謝調節により細胞死を誘導する可能性が示された。
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