研究実績の概要 |
1.保険データベースを用いて最長10年間における関節リウマチ(RA)患者と非RA患者で入院を要した感染症(HI)の頻度を比較し、非RAに対するRAの各合併症のリスクを明らかにした。対象患者は、RAの診断が1度以上付与され、抗リウマチ薬が一度以上処方された症例をRA群とし(6,712名)、RAの診断が一度も付与されなかった症例のうち年齢と性別、観察期間でマッチングし、5例ランダム抽出した症例を非RA群とした(33,560名)。HI全体の罹患率比(RA群vs.非RA群)は2.47 [2.20-2.77]であり、RA群の方が非RA群と比較して有意に罹患率が高かった。背景因子で調整したオッズ比(OR)は、HI全体では2.10 [1.85-2.39]とRAは有意にリスクを高めることが明らかになった。 2.保険データベースを用いて、対象患者として上記RA患者(6,712名)と非RA患者(33,560名)の帯状疱疹(HZ)の罹患率を比較し、さらにRA治療薬とHZの関連性を明らかにした。HZの罹患率比は(RA群vs.非RA群)は1.72 [1.46-2.02]と非RA群と比較してRA群で有意に罹患率が高かった。次に、RA群においてネスティッドケースコントロール研究を実施し、HZ発症例1人に対しリスク集団から年齢と性別をマッチングさせたコントロール4名におけるRA治療薬とHZの関連性について調整済みORを算出した。その結果、経口副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン換算で5mg/日以上)の使用のORは2.03 [1.37-3.01]と有意な値だった。その他、生物学的製剤の使用(OR 1.22 [0.81-1.83])、メトトレキサートの使用(OR 1.08 [0.77-1.51])、免疫抑制性抗リウマチ薬の使用(OR 1.24 [0.69-2.22])はいずれもHZと有意な関連性を認めなかった。
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