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2016 年度 実施状況報告書

保険データベースと患者レジストリを用いた関節リウマチ患者の合併症に関する疫学研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K19162
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

酒井 良子  東京女子医科大学, 医学部, 特任助教 (30631981)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード薬剤疫学
研究実績の概要

1.保険データベースを用いて最長10年間における関節リウマチ(RA)患者と非RA患者で入院を要した感染症(HI)の頻度を比較し、非RAに対するRAの各合併症のリスクを明らかにした。対象患者は、RAの診断が1度以上付与され、抗リウマチ薬が一度以上処方された症例をRA群とし(6,712名)、RAの診断が一度も付与されなかった症例のうち年齢と性別、観察期間でマッチングし、5例ランダム抽出した症例を非RA群とした(33,560名)。HI全体の罹患率比(RA群vs.非RA群)は2.47 [2.20-2.77]であり、RA群の方が非RA群と比較して有意に罹患率が高かった。背景因子で調整したオッズ比(OR)は、HI全体では2.10 [1.85-2.39]とRAは有意にリスクを高めることが明らかになった。
2.保険データベースを用いて、対象患者として上記RA患者(6,712名)と非RA患者(33,560名)の帯状疱疹(HZ)の罹患率を比較し、さらにRA治療薬とHZの関連性を明らかにした。HZの罹患率比は(RA群vs.非RA群)は1.72 [1.46-2.02]と非RA群と比較してRA群で有意に罹患率が高かった。次に、RA群においてネスティッドケースコントロール研究を実施し、HZ発症例1人に対しリスク集団から年齢と性別をマッチングさせたコントロール4名におけるRA治療薬とHZの関連性について調整済みORを算出した。その結果、経口副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン換算で5mg/日以上)の使用のORは2.03 [1.37-3.01]と有意な値だった。その他、生物学的製剤の使用(OR 1.22 [0.81-1.83])、メトトレキサートの使用(OR 1.08 [0.77-1.51])、免疫抑制性抗リウマチ薬の使用(OR 1.24 [0.69-2.22])はいずれもHZと有意な関連性を認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

保険データベースを用いたRAにおける合併症の解析は昨年度から引き続き実施し、感染症および帯状疱疹について予定していた解析を終了した。さらに詳細にRAの合併症について検討する追加解析も開始した。したがって、本研究課題は総合的には概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

関節リウマチ(RA)における合併症のリスクに関してさらに詳細な解析のため、糖尿病患者を対照とした解析を追加する。50歳以上のRA患者と粘性と性別でマッチングした糖尿病(DM)患者を対象として、脳心血管疾患、骨折、入院を要した感染症の罹患率を比較し、多変量解析を用いて患者背景因子で調整したDMと比較したRAのリスクを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

保険データベースを用いた関節リウマチ(RA)患者の合併症に関する研究において、当初の計画であった、RAと非RA患者の合併症リスクの比較を効率的に進めた結果、さらに詳細にRAの合併症に関するリスクを検討する必要性が生じた。平成28年度中に一部の解析や論文発表まで完了せず、年度内の支払いが間に合わなったため。

次年度使用額の使用計画

保険データベースを用いた、関節リウマチ患者と糖尿病患者で脳心血管疾患、骨折、入院を要した感染症のリスクに関する研究の追加解析および論文作成、国内外のリウマチ関連学会発表のための旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Association between Medications and Herpes Zoster in Japanese Patients with Rheumatoid Arthritis: A 5-year Prospective cohort study2017

    • 著者名/発表者名
      Sayoko Harada, Ryoko Sakai, Fumio Hirano, Nobuyuki Miyasaka, and Masayoshi Harigai for the REAL Study Group
    • 雑誌名

      The Journal of Rheumatology

      巻: 44 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.3899/jrheum.161196

    • 査読あり
  • [学会発表] Incidence rate and the risk of herpes zoster in patients with rheumatoid arthritis using Japanese health insurance database2016

    • 著者名/発表者名
      Ryoko Sakai, Shoko Kasai, Fumio Hirano, Mari Kihara , Waka Yokoyama, Michi Tsutsumino, Kenji Nagasaka, Ryuji Koike , Hisashi Yamanaka, Nobuyuki Miyasaka, Masayoshi Harigai
    • 学会等名
      Annual European Congress of Rheumatology
    • 発表場所
      London, England
    • 年月日
      2016-06-08 – 2016-06-11
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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