研究課題
スティーブンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症(SJS/TEN)の原因薬の1つでるアセトアミノフェンと、発症に関連するヒト白血球抗原(HLA)との分子間相互作用を、薬物結合ビーズ、放射線ラベル体を用いた複数の手法で検討したが、アセトアミノフェンとHLA-A*02:06(またはHLA-B*44:03)との結合は非常に弱く、より高感度な分子間相互作用解析系を確立し検討する必要があることが分かった。そこで、最終年度には、バイオレイヤー干渉法に基づいた新規の相互作用解析装置OctetRedを用いた解析系の確立を試みた。HLA-B*15:02は、抗てんかん薬カルバマゼピン及びオキシカルバゼピン誘発性SJS/TENの発症と関連する事、またこれらの薬物に直接結合することが報告されている。そこで抗てんかん薬カルバマゼピン、オキシカルバゼピンとHLA-B*15:02との結合をポジティブコントロールとして、またカルバゼピンやオキシカルバゼピン誘発性SJS/TENの発症に関連しないHLA分子との結合をネガティブコントロールとして解析を行った。これまでにOctetRedを用いてHLA-B*15:02とカルバゼピン及びオキシカルバゼピンとの結合を検出し、KD値を明らかにした。また、アセトアミノフェンとHLA-A*02:06またはHLA-B*44:03とのKD値を明らかにした。SJS/TENの発症に関わる遺伝的因子についてはこれまでに明らかとなってきているが、ハイリスク遺伝子を保有しているすべての患者が被疑薬服用後にSJS/TENを発症するわけではない。このことから、発症に必要な何らかの環境因子が存在することが示唆される。そこで、免疫系を活性化させる環境因子として感染症に着目し、当部で集積しているSJS/TENの症例解析を行い、感染症がSJS/TEN重症化のリスク因子であることを見出した。
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: 37697
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Biological & Pharmaceutical Bulletin
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