本研究では,イメージング質量分析で抗体医薬品の組織内分布可視化を行うことを目的とした.抗体医薬品であるハーセプチンを用いて,酵素消化後に得られるペプチド断片を確認したところ可変領域由来のシグナルが得られた一方,ヒト血漿とハーセプチンの混合物で同様の測定ではIgG由来のペプチドが高い強度でマススペクトル中に検出された.組織上で得られたタンパク質消化物ではIgG以外に細胞骨格タンパク質由来など量が多いタンパク質が主に検出され,目的とするペプチドを検出することができなかった.前処理法の改良を試みたが,結果は改善することなく,本研究を通じて当初掲げていた目標を達成することが困難であることがわかった.
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