研究実績の概要 |
COPD病態形成におけるLTβRシグナルの及ぼす影響について検討 1.ヒト気道上皮細胞の培養と機能評価:ヒト気道上皮細胞を培養し、LTβRリガンドであるTNFSF14(LIGHT)で刺激を行ったところ、IL-8,IL-6などの炎症性サイトカインの有意な産生を認めた。このことから、LTβRシグナルは気道上皮からの炎症惹起に関与していることが示唆された。 2.Cigarette smoke extract(CSE)の作成と末梢気道上皮細胞に及ぼす作用の検討:CSEを市販のタバコを用いて作成し、各種濃度(0, 2.5, 5, 10, 20%)を変化させ気道上皮細胞に投与を行った。気道上皮細胞はCSE投与によりIL-8産生を生じたが、予想に反しLTβR発現は上昇せず、当初の肺機能とLTβR発現が逆相関することについては他の細胞の影響が考えられた。このことは公開されている末梢気道上皮細胞へCSE刺激を行ったRNA-seqのデータをTophat, Bowtie, cufflinks, cuffdiffなどのソフトウエアを用いて再解析しても同様の知見が得られた。 3.CSE投与による肺気腫モデルマウス実験系の確立と呼吸機能の評価:当初の予定を前倒しにしてモデルマウス実験系の確立を行った。CSEを連日経気道投与を行い、マウス肺に病理学上気腫性変化を生じることや、呼吸パラメータの変化、気管支肺胞洗浄液での細胞数の変化を確認した。さらに至適な投与期間を確定することができ、実験系の確立を果たした。
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