研究課題
タバコ煙等を原因とする慢性閉塞性肺疾患(COPD)は死亡者数が増加しており、ステロイド抵抗性の全身性炎症性疾患と捉えられているが有効な診断マーカー・予後予測因子について知見は乏しい。本研究はCOPDにおけるTNFSF14(LIGHT)-LTβRシグナルの関与を検討し、COPDにおける新たな診断マーカー、予後予測因子としての可能性を探るものである。市販されているタバコを使用し、タバコ抽出液(CSE)を作成し、in vitroの実験として気道上皮細胞(BEAS2B, NHBE)、末梢気道上皮細胞(SAEC)に投与したところIL-8、IL-6などの代表的な炎症性ケモカインの上昇を認め、タバコ煙は直接気道上皮細胞に作用し炎症を惹起することが認められた。しかしながら、本研究で着目していたLTβR, LIGHTの発現は上昇を認めなかった。次にin vivo実験としてマウス気道にスプレイヤーを用いてCSEを投与し、実験的な肺気腫モデル作成を行った。CSEを1ヶ月以上投与し続けたところ病理学的に気腫性変化を認め、フレキシベントシステムを用いて肺メカニクス測定を行ったところ、CSE投与マウスにおいてコンプライアンスの上昇を認め、実験的な肺気腫モデルマウスを樹立した。肺気腫モデルマウスの気管支肺胞洗浄液の細胞数は増加し、分画において好中球分画の増加を認めた。この際に本研究費で購入したセルカウンターを用いることで再現性の高いデータを得ることができた。肺気腫モデルマウス肺のmRNAを抽出したところLTBR発現の上昇を認めた。以上から肺気腫形成におけるLTBR発現上昇は気道上皮以外の他の肺構成細胞によってもたらされる可能性が示唆された。
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Scientific Reports
巻: - ページ: -
10.1038/srep42595
Journal of Visualized Experiments
10.3791/53974
PLoS One
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