リゾホスファチジン酸 (LPA) は、細胞増殖、細胞運動性の亢進など多彩な作用を有するユニークな生理活性脂質であり、様々な悪性腫瘍との関連が示唆されている。本研究の目的は、LPA産生酵素であるオートタキシン (ATX) の診断マーカーとしての意義を見出すことである。 以前の我々の研究では、濾胞性リンパ腫患者で血清ATX抗原量が高値であった。血清ATXが高値となる機序を明らかにすべく、本研究では、造血器腫瘍患者の残検体(末梢血)を対象に測定を行った。フローサイトメトリーを用いて、リンパ腫患者と健常者を対象に、ATXの発現を比較した。数種類の抗体を用いて測定を行ったが、反応性が異なり、一定の傾向を見出すことが困難であった。細胞株を陽性コントロールに使用することを検討したが、末梢血と測定条件が異なるため、評価困難であった。フローサイトメトリーだけでなく、ウェスタンブロットなど、他の手法でも解析を行う必要があると考えられた。
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