研究課題
・赤血球のコレステロール放出機構の解析赤血球から血漿へのコレステロール転送のメカニズムをさらに解明するために,蛍光標識したコレステロール(23-(dipyrrometheneboron difluoride)-24-norcholesterol;BODIPY-Chol)を用いた赤血球膜表面のラベリングを試みた.溶媒の濃度を検討することで,赤血球を溶血させずに,膜表面を蛍光標識することに成功した.次に,この蛍光標識赤血球と血漿を混和,インキュベーションを行い,その後の血漿を解析することで赤血球から放出されたコレステロールの動態を追跡した.結果,血漿中の蛍光強度は赤血球とのインキュベーション時間依存的に増加した.さらに,高速液体クロマトグラフィーで血漿中のそれぞれのリポタンパクの蛍光強度を分析したところ,高比重リポタンパク(HDL)と低比重リポタンパク分画に蛍光コレステロールは転送され超低比重リポタンパク分画にはほとんど転送されないことが明らかになった.・泡沫細胞から赤血球へのコレステロール輸送経路の同定赤血球によるコレステロール逆転送機構への関与の解析では,昨年度明らかにした泡沫細胞から赤血球へのコレステロールの転送はアポリポタンパクA-IやHDLを介して行われ,赤血球はコレステロール逆転送のプールとしての役割を担っていることが示唆された.・修飾HDLの作製(血清アミロイドA(SAA)含有HDL)赤血球-HDL間のコレステロール代謝の破綻について調べるために,修飾HDLの一つであるSAA含有HDLの作製とその性質を調べた.リコンビナントSAAを用いて,SAA含有HDLを作製することに成功し,さらに通常のHDLより抗酸化能が高いことが明らかになった.今後,上記の赤血球とHDLの作用に関して,作製した修飾HDLを用いてその影響について調べる.
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