研究実績の概要 |
混合型肝癌はWHO分類でclassical typeとsubtypes with stem-cell features 3亜型に分類されるが、診断基準が明確でなく不明な点が多い。これまでにインテグリンβ4およびβ6は肝内胆管癌で強い発現を示し細胆管細胞癌と肝細胞癌では有意に低い発現を示すこと、肝内胆管癌では発生部位、肉眼型、胆管侵襲、分化度、細胞外基質の発現と関連することを明らかにした。今年度は、混合型肝癌各亜型におけるインテグリンβ4, β6と細胞外基質の発現を解析し腫瘍の発生や進展との関連を調べた。 混合型肝癌組織14症例を用い、HE染色と免疫染色によりclassical type 6例、subtypes with stem-cell features 8例(typical subtype 1例, intermediate-cell subtype 2例, cholangiolocellular type 5例)に分類し、インテグリンβ4, β6, ラミニン-5, テネイシンCの発現を免疫組織化学的に解析した。 その結果、混合型肝癌各亜型のstem cell featuresで、低頻度だが明瞭な発現を示した(β4: 3例, β6: 2例, ラミニン-5: 5例, テネイシンC: 6例)。またインテグリンの発現よりも細胞外基質の発現が高頻度にみられた。これらの発現は臨床病理学的所見とは有意な関連はみられなかったが、ラミニン-5, テネイシンCがインテグリンβ4およびβ6を誘導する可能性と、これらの発現が混合型肝癌におけるstem cell featuresの性質の維持と関連する可能性が推測された。
|