研究成果の概要 |
肝内胆管癌,混合型肝癌の外科切除材料および癌株化培養細胞を用い、インテグリンα6β4(β4),αvβ6(β6)とその細胞外基質を介した腫瘍進展に関わる因子を解析し、進展機序を解明することを目的とした。肝内胆管癌におけるインテグリンβ4, β6の免疫組織化学的解析では、β4, β6共に、部位は大型胆管を含む傍肝門部、肉眼型は胆管浸潤型・胆管内発育型、高分化型癌、浸潤性発育で強く発現し、胆管侵襲と関連した。細胞外基質との関連ではβ4はラミニン-5と、β6はテネイシンCと発現に相関がみられた。またTGF-β1およびα-SMA陽性筋線維芽細胞はβ6の発現と正の相関を示し、関連が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝内胆管癌、細胆管癌、混合型肝癌におけるインテグリンβ4, β6 の発現の特徴と関わる因子を調べ、これらの腫瘍の類似性、独立性、発生機序を検討した。特に肝内胆管癌では、インテグリンβ4, β6の発現がリガンドやTGF-β1の発現と関連して癌の亜分類および臨床病理学的因子と関連することを明らかにし、論文で報告した。 β4, β6 の発現は肝内胆管癌の小型末梢胆管から発生する癌で弱く、細胆管癌との類似性が示された。今後、肝内胆管癌においてインテグリンβ4, β6の発現を制御する因子を明らかにし、インテグリンβ4, β6を標的とし、かつ悪性度評価の指標とした治療応用への展開を目指す。
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