研究課題/領域番号 |
15K19183
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 大介 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (90624784)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エクソソーム / miRNA / HTLV-1 / ATL |
研究実績の概要 |
血漿などの体液中に存在するmiRNAは多くの細胞タンパク質などと共に細胞から分泌された脂質二重膜で形成された微小な小胞であるエクソソーム中に存在することが明らかとなっており、さらにそれらが細胞間で伝搬すること、これら細胞から分泌されたmiRNAがエクソソームを介して受け手の細胞に取り込まれ、受け手の細胞内で機能していることなど証明されている。発現異常を起こしたmiRNAが細胞内でATL細胞の増殖や抗アポトーシスに働きかけていることはこれまでの研究によりわかっているが、ATL細胞およびHTLV-1感染細胞より分泌されたエクソソームに含まれるmiRNAが他のATL細胞やHTLV-1感染細胞およびHTLV-1非感染の免疫担当細胞などに対しどのような影響を及ぼしているかについての研究は殆どなされていない。そこで本研究ではATL細胞より分泌されたエクソソームに含まれるmiRNAを介した細胞間クロストークがATL発症や進展に対する役割を調べることを目的とした。本年一年間にHTLV-1キャリアおよび未治療ATL患者15例の血漿よりエクソソームを得ることができ、そのうち4例のエクソソームよりRNAを抽出しマイクロアレイを用いたmiRNA発現の網羅的解析を行った。その結果病期の進行(くすぶり型→慢性型→急性型)に伴って幾つかのmiRNAはエクソソーム中の含量が増加していることが見出された。また病期の進行により含量が減少するmiRNAも認められた。本結果よりエクソソーム含有miRNAが細胞中miRNAと同様に病期の進行により増減することは示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H27年度予定の細胞株由来エクソソームを用いたHTLV-1非感染細胞株への影響、ATL細胞増殖への影響などの評価が行えていないため。評価のためのエクソソームの抽出などの準備を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
予定の評価項目の準備と平行して、ATL臨床病型および生命予後と網羅的解析で判明した変動の認められるmiRNAについての比較解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた細胞株由来エクソソームのHTLV-1非感染細胞株への影響評価、ATL細胞増殖に対する評価などを行う実験計画に遅れが出たために他の検討用に必要な試薬を使用期限などの関係で購入しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
遅れが出たために購入していない研究計画に必要な試薬類の購入に当てさせていただく。旅費は成果発表および研究に関する情報収集のための学会参加などに使用する。
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