研究課題
トランスサイレチン型アミロイドーシス (TTR-FAP) や糖尿病性ニューロパチーのみならず、様々な疾患に小径線維ニューロパチー (SFN) が関与している。しかしながら、小径線維障害を客観的、定量的に捉えることは困難なため、SFNを早期診断することは容易でない。本研究では、発症早期からのSFNの最適な客観的、定量的評価法の確立と新たな早期診断、予後予測マーカーの探索を目的とする。研究計画2年目である平成28年度は、皮膚生検組織を用いた表皮内神経線維密度の解析とともに、汗腺周囲神経線維密度、末梢神経の画像解析を中心に行った。表皮内神経線維密度の解析でが、TTR-FAPでは経時的に減少することが明らかとなった。特にTTR-FAP未発症キャリアにおいても経時的に減少を認めることから、SFNの早期診断マーカーのみならず病態マーカーとしても有用であることが考えられた。また、汗腺周囲神経線維密度も健常者に比べ減少していることが明らかとなった。MR-neurographyを用いた末梢神経イメージングでは、本症では特に末梢神経近位部での肥厚が明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
表皮内神経線維密度が早期診断および病態評価法に有用なバイオマーカーとして期待できる結果が得られ、欧文原著として報告できた。これらの病理学的解析、生理学的解析、画像解析を駆使した検査アルゴリズムの作成ができつつある。研究はおおむね当初の計画通りに進行している。
次年度は、研究計画の最終年度であり、前年度までの研究を発展させる。特に、これまで採取した患者検体を用いて新たな病理学的指標、生化学的指標の探索を行うとともに、MR-neurographyを様々な病期の患者にて評価し、客観性、定量性により優れたバイオマーカーの検証を行う方針である。
次年度に行う免疫組織学的解析用の各種抗体、プロテオミクス解析用の質量分析関連消耗品(チップ、カラム、スライドなど)の購入を次年度に繰り越したため。
最終年度は、症例数を増やすとともに新規のバイオマーカー同定のため、免疫組織学的解析用の抗体および生化学的解析用の試薬などの購入を行う。また、当初の計画に沿い、次年度請求額と合わせて使用する。
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