本研究では、腹膜透析における新規腹膜劣化指標を同定することを目的とした。ERC/mesothelinは腹膜や胸膜を覆う中皮細胞に限局して発現し、furin様プロテアーゼで切断された後、分泌型N-ERC/mesothelin(N-ERC)と膜結合型C-ERC/mesothelinに分かれる。ERC/mesothelinの腹膜劣化指標としての有用性を検討した結果、腹膜透析排液中のN-ERCは腹膜機能と正相関し、腹膜劣化を目的変数とした多変量解析において年齢、腹膜透析期間、GFRで調整後も有意な予測因子であった。以上より、腹膜透析排液中のN-ERCの腹膜劣化指標としての有用性が示唆された。
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