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2016 年度 実施状況報告書

痛みの慢性化形成過程における扁桃体ノルアドレナリン機構の解明と介入

研究課題

研究課題/領域番号 15K19194
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

高橋 由香里  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20613764)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード情動 / 疼痛 / シナプス可塑性 / 扁桃体 / 神経生理学
研究実績の概要

チャネルロドプシンによる光誘発内因性ノルアドレナリン放出の系の確立、および、内因性ノルアドレナリン放出誘発下の侵害受容性扁桃体シナプス伝達解析を目指し研究を推進した。前年度までに本課題研究拠点に導入したノルアドレナリン合成酵素ドパミンβヒドロキシラーゼ(DBH)プロモーター制御下Creリコンビナーゼ発現トランスジェニックラット(以下、DBH-Creラット)のうち、最も導入遺伝子コピー数の多い系統を選定し、交配により必要動物を獲得した。この動物のノルアドレナリン神経核にCre依存的チャネルロドプシン発現系保有ウイルスベクターを導入すべく以下に取り組んだ。1)青斑核または孤束核へのベクター注入、2)ベクター導入部位での発現とチャネルロドプシン機能の確認を目的とした急性脳スライス標本でのノルアドレナリンニューロンからのパッチクランプ記録、ならびに、3)扁桃体ニューロンからのパッチクランプ記録と内因性ノルアドレナリン作用検証のためのプロトコルの確立。現在までに、青斑核ニューロンチャネルロドプシン発現系では、青斑核への限局した分子発現が確認できたが、扁桃体を含む急性脳スライスではウイルスベクター由来蛍光物質陽性神経線維が認められていない。そのため、ウイルスベクターを変更し神経終末での十分な量のチャネルロドプシン発現条件を現在検討している。孤束核ニューロンチャネルロドプシン発現系では、孤束核へのベクター注入を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度までにDBH-Creラットの系統維持・系統選別に時間がかかってしまった影響で、全体的に進捗が遅れている。また、ウイルスベクター導入後神経終末での十分なチャネルロドプシン発現を得るために5週間程度の時間経過が必要であるため、実験結果のフィードバックに時間がかかることも遅延の一因である。しかしながら、現在は研究計画推進に必要な道具、実験材料、実験技術がそろい、順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

ノルアドレナリン神経特異的Creリコンビナーゼ発現ラット(DBH-Creラット)青斑核・孤束核ノルアドレナリンニューロンへのウイルスベクター導入によるチャネルロドプシン発現系の確立を現在進めている。ウイルスベクターの種類(プロモーター、チャネルロドプシンの種類など)などを検討し、神経終末でのチャネルロドプシン発現の向上を目指す。安定かつ十分なチャネルロドプシン発現を得ることが困難な場合は、これまでに分界条床核にて蛍光分子陽性線維が認められているので、内因性ノルアドレナリン放出誘導のための光刺激パターンや刺激時間・回数等の条件検討で、先に分界条床核での電気生理実験で検討する。ノルアドレナリン放出に成功した後は、すでに多くのノウハウがある疼痛モデル作製を速やかに行い、脳内疼痛情報処理におけるノルアドレナリン作用を解析する。

次年度使用額が生じた理由

前年度までに研究遂行に必要なトランスジェニック動物の系統選別・確立のために研究計画立案時の予定以上の時間がかかったため、研究全体の進捗が遅れている。よって、同動物を用いた実験を現在進行中であり、一定の成果を得るまでにさらに時間が必要となった。期間延長に伴い、消耗品などの費用として次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

本研究推進に必要な消耗品の購入費や、実験動物の購入費および飼育費として使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Synaptic and network consequences of monosynaptic nociceptive inputs of parabrachial nucleus origin in the central amygdala2016

    • 著者名/発表者名
      Sugimura YK, Takahashi Y, Watabe AM, Kato F
    • 雑誌名

      J Neurophysiol.

      巻: 115 ページ: 2721-2739

    • DOI

      10.1152/jn.00946.2015

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Distinct effects of isoflurane on basal BOLD signals in tissue/vascular microstructures in rats2016

    • 著者名/発表者名
      Tsurugizawa T, Takahashi Y, Kato F
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 6 ページ: 38977

    • DOI

      10.1038/srep38977

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 【痛みと情動-基礎研究の最前線研究と臨床への応用-】 痛みと情動 基礎医学 扁桃体と痛み2016

    • 著者名/発表者名
      高橋由香里、加藤総夫
    • 雑誌名

      ペインクリニック

      巻: 37 ページ: 723-730

  • [学会発表] From nociception to emotion and vice versa -Role of the amygdala in pain chronification2017

    • 著者名/発表者名
      Yukari Takahashi, Mariko Sugimoto, Yuta Miyazawa, Yae K Sugimura, Kei Shinohara, Ayako M Watabe, Fusao Kato
    • 学会等名
      第94回日本生理学会大会
    • 発表場所
      アクトシティ浜松(静岡県浜松市)
    • 年月日
      2017-03-28 – 2017-03-30
  • [学会発表] 炎症性疼痛モデルラットにおける扁桃体-中脳水道周囲灰白質シナプス伝達2016

    • 著者名/発表者名
      高橋由香里、Zahra Ghasemi、杉村弥恵、篠原恵、加藤総夫
    • 学会等名
      第36回鎮痛薬・オピオイドペプチドシンポジウム
    • 発表場所
      北海道大学薬学部(北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-08-19 – 2016-08-20
  • [学会発表] Role of the amygdala in early phase of the central pain chronification2016

    • 著者名/発表者名
      Yukari Takahashi, Yuta Miyazawa, Yae K Sugimura, Mariko Sugimoto, Kei Shinohara, Ghasemi Zahra, Ayako M Watabe, Fusao Kato
    • 学会等名
      第39回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-07-20 – 2016-07-22
  • [備考] Jikei Neuroscience 慈恵医大総合医科学研究センター神経科学研究部

    • URL

      http://www.jikei-neuroscience.com/website/what_we_have_found_recently/index.html

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公開日: 2018-01-16  

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