研究課題/領域番号 |
15K19195
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
南雲 康行 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (00459661)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 体性感覚視床神経回路 / 末梢神経損傷 / 回路改編 / 内側毛帯線維 / GABAシナプス / VPM細胞 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、①正常マウスVPM核へのシナプス外GABA-A受容体作動薬慢性処置による内側毛帯線維配線への影響および②眼窩下神経切断による内側毛帯線維再改変へのlentivirus vectorによるVPM細胞tonic GABA電流欠損の影響について検討した。 項目①の実験においては、osmotic mini-pumpを用いてシナプス外GABA-A受容体作動薬であるTHIPあるいは生理食塩水を正常マウスのVPM核へ7日間慢性処置し、スライスパッチクランプ法でVPM細胞への内側毛帯線維入力を電気生理学的に検討した。生理食塩水処置マウスでは、約75%のVPM細胞が1本の内側毛帯線維入力を受けるのに対し、THIP慢性処置マウスでは、その細胞の割合が約50%まで低下し、残りの細胞は2本ないし3本の内側毛帯線維入力を受けることを明らかにした。 また、申請者は項目②の実験において、GABA-A受容体alpha4サブユニットfloxマウスとlentivirus vectorを用い、視床VPM細胞におけるtonic GABA電流欠損が、眼窩下神経切断による内側毛帯線維再改編を抑制するか否かについて検討した。実験では、生後14日齢alpha4サブユニットfloxマウスのVPM核へiCre発現lentivirus vectorを処置した1週間後に眼窩下神経を切断し、神経切断1週間後のVPM細胞における内側毛帯線維入力を項目①と同様に記録した。その結果、眼窩神経切断による内側毛帯線維再改編は、対照群と比較して、tonic GABA電流の欠損により有意に抑制される可能性を明らかにした。現在、項目②の検討について実験例の追加を行っている。 以上の結果より、眼窩神経切断による視床VPM細胞でのtonic GABA電流増加は、内側毛帯線維の再改編を誘導する一因となっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Osmotic mini-pumpを用いた検討はほぼ終了し、lentivirus vectorを用いた検討は順調に進み始めている。lentivirus vectorを用いる検討では、十分な匹数のfloxマウスを必要とするため、交配から繁殖までの過程にある程度の時間を要するが、交配実施数や交配ペア数を増やすなどして一定匹数の動物を確保しながら平成28年度も継続して実験を行う。
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今後の研究の推進方策 |
概ね計画通りに研究が進んでいるため、28年度も引き続き現状の実施速度で実施計画を遂行させる。上述するように、本研究では遺伝子改変マウスの交配・繁殖が律速段階にあるので、交配の実施数や交配ペア数を適切に加減しながら、動物倫理に適した十分な匹数のマウスを確保するように務める。
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